【玉ノ井親方 視点】痛い黒星喫した朝乃山 照強の“奇襲”予想していなかったか

[ 2020年8月1日 20:43 ]

大相撲7月場所14日目 ( 2020年8月1日    両国国技館 )

照強(左)に足取りで敗れる朝乃山(撮影・久冨木 修)
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 照ノ富士と朝乃山がともに敗れて、優勝争いは混沌(こんとん)としてきた。

 照ノ富士は正代戦で左前まわしを先につかんだが、右下手を取れなかったのが痛かった。立ち合いで押し込めず、正代にもろ差し気味に前に出てこられる。押されて足がそろったところを、差したかいなを抜くようにいなされた。自分で右を差せなかった分、上体が浮いて踏ん張ることができず、態勢を立て直せないまま寄り切られてしまった。

 5年ぶりの幕内優勝を前に足踏み。取組には集中していたと思うが、相手にうまく取られた。きょうは照ノ富士がどうこうというよりも、正代の相撲をほめるべきだろう。

 勝った正代は、あすの千秋楽は朝乃山戦。勝てば、照ノ富士―御嶽海戦の結果次第だが、逆転優勝のチャンスも出てくる。相手十分の右四つに組まれると苦しくなるから、立ち合いで圧力負けしないように当たりたい。自分から攻めて、左を使って中に入ることができれば、面白い勝負になるのではないか。

 一方の朝乃山は、照強に痛い黒星を喫してしまった。変化気味の足取りはまったく予想していなかったに違いない。初顔で何を仕掛けてくるか分からないタイプだから、やりづらさもあっただろう。立ち合いに集中しきれず、立ったときに相手を見ていない感じだった。

 ただ新大関の場所で千秋楽まで優勝争いを盛り上げているのだから、よくやっていると思う。両横綱が休場し、自分がやらなくては、というプレッシャーもあるはずだが、立派に大関の責任を果たしている。たいしたものだ。

 ケガを克服して再入幕を果たした照ノ富士もここまでよくやっている。千秋楽の御嶽海戦は、相手の出足を止めて左上手を取って引き付けることができれば、有利な展開になるはずだ。千秋楽は新旧大関と関脇の2人が賜杯を懸けて土俵に上がる。その最後の2番は、間違いなく白熱した取組になるはずだ。(元大関・栃東)

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