大相撲7月場所、厳戒態勢で初日 検温、消毒、声援禁止…応援も“新様式”

[ 2020年7月20日 05:30 ]

大相撲7月場所初日 ( 2020年7月19日    両国国技館 )

大相撲7月場所初日、観客はマス席に一人ずつ座って観戦した(撮影・西海健太郎)
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 日本相撲協会の尾車事業部長(元大関・琴風)が「厳戒態勢で命懸けのよう」と表した7月場所、初日。国技館は、どのような雰囲気だったのか。本紙の清藤駿太記者(29)が升席で観戦し、約半年ぶりの有観客の土俵をリポートした。

 午後1時の開場を前に、両国国技館前から発生したお客さんの列は約400メートルに延び、江戸東京博物館に迫っていた。約1メートル間隔で並び、入館時は消毒と検温を実施。わずか6店に縮小されて営業していた売店前の列も、ソーシャルディスタンスが保たれていた。

 6人のボックス席は2人で、4人の升席は1人で、さらに椅子席は横に3席空けた。応援も新様式だ。横綱土俵入りでは四股を踏むたびに湧き上がる「よいしょー!」の掛け声を期待していたが、しっかり封印されていた。土俵上が膠着(こうちゃく)した際も声援はなく、拍手のみ。何度も声を出しそうになった私も、グッとこらえて拍手を送った。

 チケットは公式サイトでの販売のみだった。利用登録も必須で、この日観戦した都内在住の上村豊さん(71)は「予約は娘に頼みました。若い人にしかできない」と苦笑いした。それでも上村さんは「見られるだけでありがたいよ」と続け、心地良い太鼓の音色とともに、笑顔で帰路に就いていた。

《初日ドキュメント》
 ▽8:00 興行の開催を告げる寄せ太鼓が叩かれる
 ▽8:25 3月の春場所の出世披露に学校の卒業式のため出席できなかった4力士の二番出世披露
 ▽8:35 取組開始。たまり席に客を入れないため、土俵下の勝負審判、控え力士はたまり席の最前列の位置に下がる
 ▽12:00ごろ 客入れに備え、国技館の全ての扉が開けられる
 ▽12:28 三段目の千代雷山―大天馬の取組で物言いがつき、土俵上での勝負審判の協議は間隔を空けて
 ▽13:00 観客入場開始。開場直前は約400メートルの列ができた。正面入り口を通過してからはソーシャルディスタンスを保ち、館内への入場時はサーモグラフィーなどを使って検温
 ▽14:05 十両土俵入り
 ▽15:16 協会あいさつ
 ▽15:35 幕内土俵入り
 ▽15:42 横綱土俵入り。館内から「よいしょ~」の掛け声はなく、拍手のみ
 ▽15:51 春場所優勝の白鵬が賜杯と優勝旗を返還
 ▽16:09 幕内の取組が始まる。館内に大きな拍手が響く
 ▽17:45 遠藤が鶴竜から金星。拍手のみで座布団は飛ばず
 ▽17:57 打ち出し

《観客側の新様式》
 ☆チケット 来場者には入場券の半券の14日間保管を促す。濃厚接触者の追跡が目的。
 ☆客席 観客は通常の約1万1000人から2500人に縮小。4人升席は1人で使用。椅子席は横3席空けて前後は互い違い。たまり席はなし。飲酒禁止。
 ☆売店 商品を客が触れないようにする。列整理の足元シールを廊下に貼る。アルコール類の販売中止。食事の販売も最小限。
 ☆入退場 開場時間は通常の午前8時から午後1時に変更。再入場不可。マスク着用で、入場時の手指消毒を義務付け。声援自粛、拍手推奨。入場時の検温で37.5度以上の場合は入場不可。来場者全員にミニ消毒液を配布。観戦後は時間差退場。
 ☆館内 多数の人が触れる場所は巡回消毒する。トイレはエアタオルを中止し、ペーパータオル設置。

《力士側の新様式》
 ☆支度部屋の中 アクリル板で各関取の間を仕切る。マスクを着用し、準備運動の時も外さない。取組後の髪結いは、可能な限り自分の部屋で行い滞在時間を短くする。支度部屋の「密」を回避するため、相撲教習所を臨時の支度部屋とし、十両などの力士が使用する。
 ☆支度部屋の外 取組を行う力士は支度部屋を出たらマスクを外し、取組後は支度部屋に入る際に新しいマスクをつける。報道陣と接触せずにリモート取材で対応する。
 ☆部屋と国技館の往復 移動時はマスクの着用を徹底。途中の立ち寄り禁止。場所入り後は途中の外出禁止。ファンとは握手やサインなどで接触しない。
 ☆水回り 力水に口はつけない。ひしゃくは常に消毒する。支度部屋では風呂場の湯船は使用せずシャワーのみ。共有タオルは使用せず持参のタオルのみを使う。

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