朝乃山 大関1勝!半年ぶり有観客に「緊張」もデビュー戦白星「土俵から勇気や感動を」

[ 2020年7月20日 05:30 ]

大相撲7月場所初日 ( 2020年7月19日    両国国技館 )

朝乃山(右奥)は隆の勝を送り出しで破る (撮影・西川祐介)
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 新大関・朝乃山(26=高砂部屋)が平幕の隆の勝(25=千賀ノ浦部屋)を送り出し、白星発進した。無観客で行われた3月の春場所で昇進を決めたものの、5月の夏場所は新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止。ようやく迎えた大関最初の一番で、1月の初場所以来、約半年ぶりに国技館に帰ってきた相撲ファンに成長した姿を披露した。

 新大関の白星発進を称える拍手が、国技館に響いた。チケット販売は収容人員1万1000人の25%に届かない2500人を上限としたが、初日の入りはその8割程度。それでも、3月の春場所で無観客開催の寂しさを味わい、お披露目となるはずだった5月の夏場所は中止となった朝乃山にとっては、無上の喜びだ。報道陣にリモートで対応した声は、マスク越しにも実感がこもった。

 「お客さんがいるのと、いないのでは違う。とても緊張した。自分の相撲を取り切ることだけ考えた」

 春場所では圧倒した隆の勝との対戦。この日は立ち合いから相手の突きをまともに食らった。土俵下で見守る伊勢ケ浜審判長(元横綱・旭富士)が「立ち遅れた」と指摘した劣勢。本場所前には他の部屋の関取衆と手合わせして臨むのが通常だが、今場所前は出稽古が禁止されており、相撲勘に狂いが生じていても不思議はない。だが、何とかこらえ、左手を伸ばしてまわしの結び目付近をつかむと、すかさず投げで崩して送り出した。

 「相手を見ながら左上手を取れて、自分から攻めたのは良かった。自然に(左上手を)取れたので稽古したことが少し出たかな」。コロナ禍でステイホームが推奨された期間を、26歳は無駄にしてはいなかった。横綱・千代の富士をはじめ、過去の名力士たちの映像で右四つを徹底研究。特に意識したのは、左上手をいかに早くつかむか、だった。その成果の一部を、4カ月ぶりの本場所でいきなり披露した。

 幕内土俵入りでは「大関」と紹介され、大きな拍手に包まれた。新調した化粧まわしに描かれているのは、朝日とおぼしき真っ赤な日輪と、天へ昇る竜。昨年5月の夏場所で初優勝し、今年春場所で大関昇進を決めた勢いを象徴する図柄だった。

 「(関脇だった)初場所より拍手が大きかった。人数が少ないのに」

 再開初日から駆け付けたファンの熱い応援で闘志に火が付き、決意を新たにした。「土俵から勇気や感動を与える相撲を取りたい」。まだまだ新型コロナウイルスの収束は見通せず、全国各地では豪雨による災害も発生している。角界の看板力士となった自身の活躍で、少しでも明るい話題を届ける。

 ▼八角理事長 (朝乃山は)どっしりしていた。隆の勝が崩された感じになった。(場所前に)ちゃんと調整してきたという感じ。大関の自覚があったということ。

《朝乃山 7月場所までの歩み》
 ☆3月25日 夏場所の番付編成会議と臨時理事会で、朝乃山の大関昇進決定。
 ☆4月3日 夏場所と名古屋場所の2週間延期を発表。出稽古禁止を通達。
 ☆同10日 幕下以下の力士1人の新型コロナウイルス感染を発表。
 ☆同13日 ぶつかり稽古や申し合いなど接触を伴う稽古の自粛を要請。
 ☆同25日 高田川部屋の高田川親方(元関脇・安芸乃島)や十両・白鷹山ら6人のコロナ感染を発表。
 ☆同27日 夏場所の新番付発表。
 ☆同30日 高田川親方ら5人の退院を発表。
 ☆5月4日 夏場所中止決定。名古屋場所を7月場所として両国国技館で開催することも発表。
 ☆同13日 高田川部屋の三段目力士・勝武士さんが新型コロナウイルス感染による多臓器不全で死去。
 ☆同18日 協会員約900人を対象とした新型コロナウイルスの抗体検査を開始。
 ☆6月25日 ぶつかり稽古の自粛要請を解除。
 ☆7月13日 7月場所の有観客開催を発表。
 ☆同19日 7月場所初日で隆の勝に勝利。大関1勝。

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