藤田寛之の“急がば回れ!”上達講座【第10回 30ヤード、50ヤードのアプローチの打ち分け方】

[ 2020年6月12日 12:00 ]

アプローチの打ち分け方を解説する藤田寛之プロ
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 今回のテーマは30ヤードと50ヤードからのアプローチです。アベレージゴルファーにとっては、なかなか寄せ切れない距離でもありますが、逆に打ち分けることができれば、スコアアップに直結します。藤田寛之プロによれば、振り幅さえしっかり身につけておけば、打ち分けることは十分可能だと言います。ティーチングプロのジミー常住氏がそのコツを聞き出しました。ぜひこの機会に身につけましょう。

 常住 30ヤードと50ヤードの打ち分けはなぜ難しいのでしょうか?

 藤田 フルスイングではなく、その距離に応じた振り幅で打たなければいけないからです。しかも、ダフリやトップといったミスを避け、正確にボールをヒットすることが要求されます。場合によっては、ロフトが大きなクラブを使うことで、ボールがクラブフェースの上を滑り、飛距離をロスすることもありますからね。

 常住 しかし、プロは正確に30ヤード、50ヤードを打ち分けています。

 藤田 すべてを計算した上で、どれぐらいの振り幅ならどれだけ飛ぶのかという基準を持っているからです。自分でいえば、両手が右腰から左腰までの振り幅なら30ヤード、右腕が水平になるところから左腕が水平になるところまでなら50ヤードになります。

 常住 アベレージゴルファーが30ヤードを正確に打つにはどうしたらいいのでしょう?

 藤田 使用クラブはSWで、スタンスを極端に狭くしたら、ボールをスタンスの真ん中よりも1個分右にセットします。両手が左足太腿の内側にくるようにハンドファーストに構えましょう。このとき、体重は左足に6割ほど乗せておきます。

 スイング中は体重移動を行なわず、両肩と両腕でできる三角形をキープしたままボールを打ちます。バックスイングでは、胸か肩を右に回すことで三角形を動かし、ダウンスイングからフォロースルーにかけてスイングスピードを加速するように振り抜きましょう。振り幅は両手が右腰から左腰の高さにくるイメージです。

 常住 スイング中の注意点はありますか?

 藤田 ボールを上げようとしないことです。あくまでもロフトがボールを上げると信じ、ボールの上からヘッドを下ろしましょう。

 常住 次に50ヤードですが、どのように打てばいいですか?

 藤田 やはりSWを使います。スタンスを肩幅程度に広げたら、ボールをスタンスの真ん中にセットし、ハンドファーストに構えます。体重配分は左右均等です。バックスイングでは右足に体重を乗せ、ダウンスイング以降では左足に体重を移動します。振り幅は左腕が水平になる位置から右腕が水平になる位置までです。

 常住 注意点を教えて下さい。
 
 藤田 ボールを打つ前に何回か素振りを行い、スイングの最下点をチェックしておきましょう。最下点でボールをとらえるクセをつけておくことで、距離感と方向性が安定してきます。

 また、距離感が安定しない人の特徴として、バックスイングが大きくてフォロースルーが小さい傾向があります。これだとインパクトが緩むため、距離が出ません。そういう人は左右対称のスイングを意識するよりも、バックスイングが4割、フォロースルーが6割のスイングを心がけましょう。バックスイングは左腕が水平の位置でも構いませんが、フォロースルーでは両手が肩よりも高い位置にくるイメージです。(取材協力=静岡・葛城ゴルフ倶楽部)


 ◇藤田 寛之(ふじた・ひろゆき)1969年(昭44)6月16日生まれの50歳。福岡県出身。15歳でゴルフを始め専修大を経て92年プロ入り。97年サントリーオープンでツアー初V。12年には年間4勝をマークし賞金王に輝く。20代は1勝だったが、30代で5勝、40代で12勝と年齢を重ねるごとにプレーヤーとしての凄みを増している。昨年は優勝こそなかったものの、賞金ランク18位で23年連続賞金シードを獲得。1メートル68、70キロ。

 ◇ジミー・常住=本名・常住治臣(つねずみ・はるおみ)1981年(昭56)12月15日生まれの38歳。東京都出身。5歳でゴルフを始め米マーセッド・カレッジ留学を経て、12年日本プロゴルフ協会(PGA)の指導者ライセンスを取得。1メートル70、70キロ。

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