新型コロナ軽症者向けの施設一部完成 日本財団・笹川会長「民間も団結を」

[ 2020年5月1日 19:52 ]

新型コロナウイルス対策施設となっているパラアリーナ内部(提供:日本財団)
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 日本財団は1日、新型コロナウイルスに感染した軽症、無症状者の滞在施設となる東京都品川区の「日本財団パラアリーナ」の内部などを報道陣に公開した。一部施設はすでに完成しており、東京都の要請に合わせて受け入れを開始する。笹川陽平会長(81)は「政府や地方自治体だけに任せるのではなく民間も団結し、国難とも言える新型コロナウイルスに対して団結する必要がある」と訴えた。

 建設費用や食費などは全て財団が負担。当初は1200床を想定していたが、専門家の意見に従い300~最大600床まで設置可能。パラアリーナには、計100室(各約10平方メートル)が設けられ、ベッド1台とロッカーや机が置かれた。館外にはトイレとシャワーが各30室用意された。また、隣接する「船の科学館」の駐車場では5月下旬の完成を目指し、計60床を備えた大型テント1棟の建設が進んでいる。

 医療従事者の疲労緩和や診察の効率化を図るため、滞在施設は全て平屋となる。感染防止のため、病床のある「レッドゾーン」、医療従事者が待機する「グリーンゾーン」、その中継地点となる「イエローゾーン」の3つに区分けされることも分かった。

 さらに笹川会長は「患者さんのあり方も変化している」として、感染者の家庭事情に配慮し感染者本人とその家族を受け入れるためのプレハブハウスを設置することも発表した。例えば母子家庭で母親が感染した場合、子供の受け入れ先がないことなどが懸念され、今回の計画に至った。6月末までに140軒(各約20平方メートル)のプレハブハウス完成を目指しており、風呂やトイレなども完備される見通し。

 感染拡大にともなう病床不足解消のため、4月3日から感染者受け入れに向けた準備が進められていた。滞在施設に活用されているパラアリーナは、東京パラリンピックを目指す選手たちが練習場として利用していたが、現在は使用不可。笹川会長は「毎日利用していた選手たちが快く“患者さんたちのために使ってほしい”と言ってくれた。新型コロナウイルスが終息したら、直ちにパラリンピアンたちが活動できる場所に戻したい」と約束した。

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