リオ王者・大野、五輪当確Vも通過点 狙うのは東京で連覇だけ!!「本番しか見ていない」

[ 2020年2月24日 05:30 ]

柔道 グランドスラム(GS)デュッセルドルフ大会第2日 ( 2020年2月22日    ドイツ・デュッセルドルフ )

男子73キロ級決勝で韓国の安昌林(下)を破り優勝の大野
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 男女計4階級が行われ、男子73キロ級で大野将平(28=旭化成)が優勝し、2連覇を目指す東京五輪の代表入りを確実にした。昨年の世界選手権を4年ぶりに制し、優勝すれば最速で五輪代表に決定することが確実だった同11月のGS大阪大会は左手人さし指のケガで欠場。約半年ぶりの実戦ながら次元の違う強さを見せた。女子63キロ級の田代未来(25=コマツ)、同70キロ級の新井千鶴(26=三井住友海上)も優勝し、代表入りを確実にした。

 見る者をとりこにする圧倒的な強さも、大野に言わせれば「雨とは言わないが、曇りみたいな感じ。パッとしない。情けない」。東京五輪の重要な選考会の一つだったが、「代表になることを目的にここには来ていない」と言ってのけた。柔道、言動、全てが別次元。17年世界王者の橋本壮市(パーク24)との代表争いに、完璧な終止符を打った。

 現在の目標はただ一つ、五輪連覇のみ。準決勝までの5試合は全て一本勝ちながら、理想とする試合内容にはほど遠かった。相手は初対戦の選手ばかり。「他の選手全員から首を狙われている感覚」と常に警戒され、まともに組み合えない試合が続いた。3回戦では徹底して距離を取る相手に付き合ってしまい、先に指導2で追い込まれた。それでも「自分を殺しながらも勝つ必要がある。それを味わえたのは重要」と五輪への血肉に変えた。

 2年前のアジア大会決勝で11分に及ぶ熱戦を繰り広げた安昌林(アンチャンリム)との決勝は、果敢に攻め込む相手に対し、受け(防御)の強さを発揮。1分58秒に内股で技ありを奪い、そのまま優勢勝ちを収めた。五輪本番でも最大のライバルになりそうだが、相手もケガ明け2大会目で「これから調子を上げていくんじゃないか」と余裕の表情。全てが5カ月後への過程と言いたげだった。

 立場上、27日の強化委員会まで代表選考に関する明確な発言を避けている男子日本代表の井上康生監督も「柔道は相手ありきの競技。その中で、どう戦っていくかを考え抜いている。その証明」。魔物が棲む五輪。2大会連続金メダルを狙った04年アテネ五輪でまさかのメダルなしに終わった指揮官だからこそ、大野の戦いざまを理解し、高く評価した。

 東京五輪で目標とする「絶対的な強さ」を見せての金メダル獲得は道半ば。「本番しか見ていない。明日からまたやっていく」。上目遣いの視線の先に、大野にしか見えないチャンピオンロードが延びている。

 《国際大会34連勝》大野は6試合を戦った今大会を制し、国際大会での連勝を34に伸ばした。前回敗戦は17年12月のGS東京大会3回戦を棄権したもので、14年12月のGS東京大会決勝で秋本啓之に敗れたのを最後に、畳に上がった試合は5年以上負けがない。対外国人選手は同年8月の世界選手権決勝でヤルツェフ(ロシア)に敗れたのが最後だ。国内では18年4月の選抜準決勝で海老沼匡に敗れたのが最後。17年4月には無差別の全日本選手権に出場し、初戦で敗退した。

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