創価大 9位で初シード権!10区・嶋津が区間新 目の病に負けず流行シューズも履かず11位から大逆転

[ 2020年1月4日 05:30 ]

第96回東京箱根間往復大学駅伝・復路 ( 2020年1月3日    神奈川・箱根町~東京・大手町 5区間、109・6キロ )

10区、シード権を獲得となる総合9位でゴールし、ガッツポーズする創価大・嶋津(撮影・木村 揚輔)
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 10位までに与えられる来年のシード権争いは、令和もし烈を極めた。創価大は11位でスタートした10区の嶋津雄大(2年)が1時間8分40秒の区間新記録をマーク。大逆転で過去最高となる総合9位に入り、初のシード権を獲得した。東京国際大も過去最高の5位で初シード。第1回大会から出場している伝統校の明大、早大もそれぞれ6、7位でシード圏内に返り咲いた。

 創価大に最高のエンディングが待っていた。11位でたすきを受けた嶋津が爆走。55秒差で10位を走っていた中央学院大、3分6秒差の東洋大も抜き去り、9位でゴールテープを切った。「イチかバチか」。序盤からハイペースを貫き、つりそうな左太腿裏の痛みも耐えた。「みんながつないだ思いを乗せて走り切れた。うれしくて幸せ。区間賞はオマケみたいなもの」と笑顔を浮かべた。

 嶋津は暗闇で目が見えにくくなる「網膜色素変性症」と闘う。日の出が遅くなる冬場の早朝練習では、集団走には加われない。マネジャーに付き添ってもらいながら練習場に行き、ライトのともる400メートルトラックで走り込んだ。高校時代は70メートルほどの校舎の廊下に電気をつけ、黙々と練習。流行のナイキ製シューズは履かずに区間新記録をマークし「一歩、踏み出せない人に勇気を与えられた」と胸を張った。

 実は小説家でもある。チーム内でライトノベル(娯楽小説)を書くことで有名。大学生活や練習の合間にアイデアを巡らせ、PCソフト「ワ ード」で約 120ページの作品が完成した。舞台は争いの絶えない異世界。平和の象徴である陸上競技で「女子を勝たせる」という物語だという。4月締め切りの電撃小説大賞に応募予定というが、まずは現実で「主人公のような走りができた」と笑った。

 昨年末、榎木和貴監督にアンカー起用を告げられた。全員が指揮官に提出する目標設定用紙に「シード圏でゴールテープを切る」という趣旨の物語をつづった。創作力だけでなく確かな実力でアンカー起用に応え、もぎ取ったシード権。その物語はまた、1年後も続く。

 ▽創価大 東京都八王子市に本部を置く私立大学。1971年に宗教法人創価学会の第3代会長だった池田大作氏によって創立。当初は文系のみだったが、看護学部などを加え、現在は文理8学部10学科。今年の箱根駅伝は3年ぶり3度目の出場。初出場の15年は総合20位、17年は13位だった。OBにはプロ野球元日本ハムの小谷野栄一氏、ソフトバンクの田中正義らがいる。

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