箱根駅伝“新時代”に突入 好記録生まれた3つの要因 総合最下位・筑波大は3年前なら9位相当

[ 2020年1月4日 06:00 ]

第96回東京箱根間往復大学駅伝・復路 ( 2020年1月3日    神奈川・箱根町~東京・大手町 5区間、109・6キロ )

富士山を背に、力走する東海大8区・小松(撮影・尾崎 有希)
Photo By スポニチ

 【金哲彦氏 分析】令和最初の箱根駅伝は異次元の高速レースとなった。青山学院大の総合優勝タイム10時間45分23秒はもちろん、往路(青学大=5時間21分16秒)も復路(東海大=5時間23分47秒)も大会新。10区間中7区間で計13人が従来の区間記録を上回った。いったい箱根路に何が起こったのか。東京五輪イヤーにふさわしい超ハイレベルとなった舞台裏を、駅伝マラソン解説でおなじみの金哲彦氏に分析してもらった。

 94年に初めて山梨学院大が11時間の壁を突破(10時間59分13秒)して総合優勝をした時は衝撃を受けたが、今回はシード校全てが11時間を切った。間違いなく箱根駅伝は新しい時代に突入した。

 まず第1の要因は「天候」だ。2日間とも好天に恵まれた。風も往路は追い風、例年なら向かい風となる復路もほとんど風がなかった。

 第2の要因は選手たちの「意識レベルの向上」だろう。今の駅伝は以前のようにスタミナや粘りを重視して前半は抑え、後半から上げていく走り方ではまず勝てない。リスクを恐れずに前半から1キロ2分40秒くらいのハイペースで突っ込む「攻めの走り」が必須の時代になっている。今回は20キロ通過が58~59分台の選手が大勢いたので、選手間に攻める姿勢が浸透してきたということだろう。

 3つ目の要因は「厚底シューズ」だ。厚底でカーボンが入っているので着地する際の衝撃が少なく、カーボンがバネの働きをしてくれる。ただし、誰でも履けるが、誰でも同じ効果があるわけではない。今回も大勢の選手が履いていたが、足の運びが上の方にぴょこぴょこ跳びはねてしまい、前へ進む推進力になっていない選手も散見された。

 厚底シューズの効果を引き出すために一番重要なのは、正確に着地をすることだ。しっかりと地面を捉えて自分の体重を乗せられれば、カーボンがそれに反発して自然と前に跳んでいくことができる。つまり、体幹を鍛えて軸がぶれないような走り方ができないと、このシューズの利点は生かされないということだ。着地がちょっとでもぶれると、跳ね返りが激しい分、ブレも大きくなって前ではなく上にぴょこぴょこ跳ねるだけになってしまう。いち早くそのためのトレーニング法を習得し、実践してきた者が好記録を出すことができたわけだ。

 あの金栗四三が掲げた「箱根から世界へ」の目標にまた一歩、しかも大きく近づいた。そんな気持ちを抱かせてくれた、素晴らしいレースだった。(駅伝マラソン解説者)

 《超高速の箱根駅伝アラカルト》
 ☆往路 5時間21分16秒で優勝した青学大は、大会記録を5分15秒更新。2位の国学院大、3位の東京国際大、4位の東海大も大会新をマークした。
 ☆復路 東海大の優勝タイム5時間23分47秒は、大会記録を37秒更新。
 ☆総合 青学大の10時間45分23秒は大会記録を6分46秒更新し、2位・東海大の10時間48分25秒も3分44秒。20位の筑波大は11時間16分13秒で、17年大会なら9位に相当する。また、17年の青学大優勝タイム11時間4分10秒は、今大会の13位相当でシード落ちする。
 ☆区間新 2区から7区まで6区間連続で区間新記録が誕生した。1~7区で7区間連続区間新の66年大会以来、54年ぶり。また、今大会は10区も区間新で計7区間の新記録は70年大会以来、50年ぶり。

続きを表示

この記事のフォト

「羽生結弦」特集記事

「卓球」特集記事

2020年1月4日のニュース