関学大・島内監督、意地の2TDもラスト飾れず…さらば闘将「今までありがとう」

[ 2020年1月4日 05:30 ]

アメリカンフットボール・日本選手権「第73回ライスボウル」   関学大14―38富士通 ( 2020年1月3日    東京ドーム )

試合後、関学大・鳥内秀晃監督(中央)は選手を集めて挨拶する(撮影・西川祐介)
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 アメリカンフットボールの日本選手権、第73回ライスボウルは3日、東京都文京区の東京ドームで行われ、関学大(学生代表)は2年連続の対戦となった富士通(社会人代表)に食い下がるも、地力の差が出て14―38の完敗。28年間率いた鳥内秀晃監督(61)のラストゲームを白星で飾れなかった。富士通は社会人と学生の王者が対戦する形式となった1984年以降では史上2チーム目の4連覇で5度目の優勝。ライスボウルは社会人の11連勝となった。

 「贈る言葉」は、シンプルだった。28年間の監督生活を締めくくる最後のハドル。人生を捧げた青いジャージの学生を前に、鳥内監督は万感の思いを言葉に乗せた。

 「オレは終わりやけど、お前らは続けていかなあかん。今までありがとう」

 競技の枠を超えた名将のラストゲーム。1年前にチームとして問題提起した地力の差で、いきなり0―21とリードを広げられた。攻撃にリズムが出ると、ミス、反則が続出。「あの辺をちゃんとやらんと、勝負でけへん」。自滅を振り返る時、必ず浮かべる渋面で鋭く指摘した。

 ただ、闘将が受け継ぎ、情熱を注いだファイターズの文化に「諦め」の2文字はない。第2Q11分43秒にRB三宅が64ヤードのTDランで反攻開始。7―38と勝負がほぼ決した第4Qも、残り38秒でQB奥野がWR鈴木にTDパスを通した。そして、オンサイドキックから攻撃権奪取。エンドゾーンまで2ヤードまで迫ったドライブは、部歌「FIGHT ON」の神髄だった。

 「僕ら全員、監督には勝って終わってもらいたかった。残念だけど、自分の中では、やりきった感じはある」

 涙が枯れた奥野の瞳には、新たな炎が宿っていた。三宅も、鈴木も、攻撃にアクセントを加えた鶴留も、まだ3年生。だから、指揮官の残した言葉は胸に刺さるに違いない。

 「うちは永遠に期待され、注目されるチーム。それに応えようとするから伸びるねん」

 ライバル、自分、そして常勝の重圧と戦い続けた28年。肩の荷を下ろし、希代の勝負師は一人の男に帰る。

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2020年1月4日のニュース