データで見る八村の11戦目 勝つための方法論を示してくれたマジック

[ 2019年11月18日 11:38 ]

マジックのブーチェビッチにマークされるウィザーズのビール(AP)
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 ウィザーズは敵地オーランド(フロリダ州)でマジックに121―125で敗れたが、NBAでの戦い方はどうあるべきなのかを考えさせられる試合だった。

 まずウィザーズのオフェンス成績は3勝8敗という成績にもかかわらず悪くはない。マジック戦の前までの平均得点はリーグ3位の117・7で、フィールドゴール(FG)の平均成功数(44・6)はリーグ1位だ。当然アシスト数は多く25・9回は4位。FG試投数(95・1)とFG成功率(44・6%)とともに6位だった。

 これに対してマジックの平均得点は30チーム中の29位となる100・3で、個人得点の上位50人に、誰1人として名を連ねていない。

 ところが点を取っても点を取られすぎて得失点差がマイナス1・9のウィザーズに対して、マジックはその少ない得点にもかかわらず得失点差はプラス0・4。「どうやって勝つか?」という戦術の基盤が両チームでは大きく異なっているように思う。

 どのチームにもだいたいディフェンスのスペシャリストがいて、マジックにも平均プレータイムが15分ほどなのに必ずブロックショットを1回記録してくるセンターのモー・バンバ(21)がいる。クリッパーズに昨オフに移籍したカワイ・レナード(28)とポール・ジョージ(29)の評価はディフェンス力を持っているからこそ。しかし今のウィザーズにはその“守備の達人”がおらず、私の目にはその欠けているピースをルーキーの八村塁(21)が懸命に埋めようとしているように映る。

 彼は11試合を消化してブロックショットをまだ1つしか記録していないのだが、マジック戦では少なくともシュート体勢に入った相手選手に対して3回それを試みている。労力がかかるのでスタミナ温存と反則回避を考えるなら“静観”してもいいシチュエーションだが、背番号8は果敢にその挑戦を続けている。

 ウィザーズとマジック…。先発5人の中で最もシュートを放った選手と最も打たなかった選手の回数の差はウィザーズが「21」であるのに対してマジックは「8」。チームの総得点は低くてもこの機会均等オフェンスが選手にスタミナを生み、それが安定したシューティング・タッチをもたらしている。

 この日のFG成功率はウィザーズが47・4%であるのに対してマジックは49・4%。わずかな差であるように思えるこの数字が、実は接戦に持ちこたえられるか、そうでないかの差を生み出しているように思う。

 本来の大黒柱、ポイントガードのジョン・ウォール(29)がアキレス腱の断裂による故障で戦列に不在。シューティング・ガードのブラドリー・ビール(26)はマジック戦で34得点を挙げたが勝利にはつながらなかった。

 今季11試合でビールが試みたシュート(FG試投数)は273本でこれはチームの26・0%を占めている。13選手で試合に臨んでいるにもかかわらず、1人で4分の1を超えている計算になる。これに対して八村は129本で12・3%。この数値がマジックのように縮まっていくときに勝機を築くことができると思うのだが、それはまだ先の話なのかもしれない。

 昨季のファイナルで初優勝を遂げたラプターズの平均失点はレギュラーシーズンでは30チーム中9位の108・4だった。ところが16チームによるプレーオフに突入すると、24試合で全体の2番目に相当する101・1にまでこの数値をダウンさせた。ファイナルでMVPとなったレナードだけでなく全員に「守る意識」が強まった証拠。点を取らなくても勝てる方法論はNBAにはいくらでも転がっているはずで、そのひとつでもウィザーズが拾ってくれることを祈っている。(高柳 昌弥)

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