飛び込みの超新星 玉井陸斗 13歳最年少V「やったな、くらい」

[ 2019年9月24日 05:30 ]

飛び込み 日本選手権最終日 ( 2019年9月23日    石川県金沢プール )

大会最年少優勝を果たした玉井
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 男子高飛び込みで玉井陸斗(13=JSS宝塚)が498・50点で優勝した。11日に13歳の誕生日を迎えたばかり。94年に13歳11カ月で同種目を制した寺内健(39=ミキハウス)を抜く、大会史上最年少優勝となった。4月の日本室内選手権も最年少で優勝したが、年齢制限により7月の世界選手権は不出場。東京五輪は年齢規定をクリアできるため、最終予選となる来年4月のW杯東京大会で代表入りを狙う。

 風格すら漂った。玉井が7月の世界選手権4位相当となる498・50点で優勝。2位に72・95差をつける圧勝だった。シニアデビューを優勝で飾った4月の日本室内選手権で記録した自己ベストも24・25更新。尊敬する寺内の保持していた最年少優勝も塗り替えたが「めちゃめちゃうれしいということはない。やったな、というくらい」と冷静だった。

 5カ月前から進化していた。練習では苦手の後ろ向き入水を重点的に特訓。前向き入水の2倍以上の時間を割いた成果もあり、入水時にしぶきの立たないノースプラッシュを連発した。身長が約3センチ、体重は約3キロ増え「ジャンプの高さが出なかったり、回転が遅くなった」ことから難易度よりも精度を重視。109C(前宙返り4回転半抱え型)を封印するなど日本室内選手権から2種目の難易度を下げ、得点を伸ばした。寺内は「自分が最年少優勝した時とは内容が違う。五輪で金メダルを狙える位置にいる。陸斗に更新してもらえてよかった」と目を細めた。

 年齢制限で世界選手権に出られなかったが、東京五輪は規定をクリアする。この種目は来年2月の選考会で2位以内となれば、五輪最終予選となる同4月のW杯東京大会の出場権を獲得。そこで18位以内に入れば、日本男子の五輪最年少出場が内定する。玉井は「世界には厳しい審判がいる。世界の大会でも500点近く出したい」と、既に視線を世界に向けていた。

 ▽五輪と年齢 日本人の最年少五輪出場は36年ガルミッシュパルテンキルヘン五輪のフィギュアスケート・稲田悦子の12歳0カ月で、夏季に限れば68年メキシコ五輪の競泳・竹本ゆかりの13歳6カ月となる。男子は32年ロサンゼルス五輪の競泳・北村久寿雄が14歳10カ月で、玉井が東京五輪に出場すれば男子最年少となる。世界では1896年アテネ五輪の体操競技平行棒団体で10歳7カ月で銅メダルを獲得したギリシャのディミトリオス・ロウンドラスが史上最年少出場、最年少メダリスト。

 ◆玉井 陸斗(たまい・りくと)2006年(平18)9月11日生まれ、兵庫県宝塚市出身の13歳。3歳の時にJSS宝塚で競泳を始める。小1の時に飛び込みを始め、小5から寺内らとともに練習する。今年4月に宝塚市立高司中に入学した。好きな食べ物は牛タンの焼き肉。趣味はゲーム。1メートル46、39キロ。

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