文田 2年ぶり世界選手権V グレコ日本勢で初の2度目制覇「気持ち良い」

[ 2019年9月18日 02:08 ]

レスリング世界選手権第4日 ( 2019年9月17日    カザフスタン・ヌルスルタン )

<レスリング世界選手権2019・4日目>男子グレコローマン60キロ決勝、優勝し歓喜の文田(撮影・会津 智海)
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 東京五輪予選を兼ねて行われ、男子グレコローマンスタイル60キロ級は16日に代表に内定した文田健一郎(23=ミキハウス)が決勝で昨季王者のセルゲイ・エメリン(ロシア)を10―5で下し、2年ぶり2度目の優勝を決めた。グレコの日本勢で2度の世界選手権制覇は初めて。

 グラウンド技を中心に0―5とリードされながら、得意の反り投げで4点を返してローリングで逆転。試合後は雄叫びを上げて日の丸を背にマットを一周し、バック転で喜びを爆発させた。

 「気持ち良いです。(代表が決まって)背負うものが肩から下りて、思い切って試合ができました。17年は一つの終着点のように感じたけど、今回は一つ一つ丁寧に優勝を目指して作り上げてきたので、達成感は前回より大きい」。

 グラウンド技が強いエメリン対策は、同じ階級で五輪代表を競ってきたリオ五輪銀メダルの太田忍(25=ALSOK)から教わった。エメリンと対戦経験がある先輩にアップ会場でローリングを直々にかけられ「ここで(クラッチを)こう切れ、ここで止まるなとか凄く細かくアドバイスをくれて、もう負けられないなと」。試合本番では寝技で得点を奪われたものの、ローリングは半回転でしのぎ「(教えられた時に)“はい50万!!”と言われたけど、本当に50万分の価値はあった。先輩も優勝でチャラにしてくれると思います」と笑った。

 日体大時代から切磋琢磨(せっさたくま)してきた太田は国内の選考大会で敗れた後、文田の結果を待つ立場だった。これまでは「負けろ」と公言していたが、前夜に内定を決めて顔を合わせた際は無言でハグされたという。文田は「本当に忍先輩の影響は大きくて…(競う中で)いなければ良いのにとか、なんで世代が被っちゃったんだろうんだろうって思ったこともあった。でも凄く良い距離と良い関係でやってこられた」と涙をこぼした。

 太田は文田の内定を受けて67キロ級への階級転向を表明。先輩の決断に「目指しているところは一緒なんだと思いました」といい、東京五輪での金メダルそろい踏みには「僕の口から一緒に取ろうというのは違う気がするけど…ひそかに思っています」と明かした。投げ技を中心に対策された今大会で課題と収穫もあった。「もっともっと投げにこだわっていけば別の良さが出せる。もっともっと新しい世界に通用する技を身に付けていきたい」。23歳のレスラーは東京まで進化し続ける。

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