英莉花、涙の初V 黄金世代止まらない7人目

[ 2019年6月3日 05:30 ]

女子ゴルフツアー リゾートトラスト・レディース最終日 ( 2019年6月2日    静岡県浜松市 グランディ浜名湖GC=6560ヤード、パー72 )

プレーオフ2ホール目、ウイニングパットを決め拳を突き上げる原英(撮影・西尾 大助)
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 尾崎将司(72)の愛弟子、原英莉花(20=日本通運)がツアー初優勝を飾った。2打差の3位から出て、66とスコアを伸ばして通算14アンダーでペ・ソンウ(25=韓国)と並んで首位でホールアウト。プレーオフ2ホール目の15番でバーディーを奪い勝負を決めた。畑岡奈紗を筆頭とする黄金世代で7人目のツアー優勝者となった。2打差の3位に河本結(20=フリー)と日本人5人目のアマチュア優勝を目指した古江彩佳(19)が入った。

 「絶対に決めてやる!!」。プレーオフ2ホール目の15番。1・5メートルのウイニングパットを沈めた原英は勢いよく右手を天に突き上げた。

「1対1の勝負なら絶対に負ける気がしませんでした」

 その勝負強さは正規のラウンドでも発揮された。14番で4メートルのバーディーパットを沈め勢いに乗ると、15、16番では切れのあるショットとアプローチをピンに絡める。そして17番では9メートルの長いバーディーパットをねじ込み4連続バーディーでついにトップに立った。ホールアウト後にギャラリーに「おめでとう」と声を掛けられると目に涙があふれた。

 「ホッとしたというか凄いうれしいというか。いろいろな感じです」

 米ツアーで活躍する畑岡奈紗や勝みなみらと同学年の黄金世代。飛ばし屋の大器と期待されながらツアーでは結果を残せず苦しんだ。プロテストも1回目の挑戦は失敗だった。ツアーで次々に優勝していくライバルたちと自らを重ね、落ち込むことも多かった。そんな時に立ち直るきっかけをつくってくれたのが、師匠のジャンボだった。プロテストに失敗したときには「おまえ何歳だよ。まだ20歳にもなってないじゃないか」と励まされ、今季の開幕前に賞金女王の目標を掲げると「なに言ってんだ!!大きな目標じゃなく、まず目先の目標を立てろ」と諭された。昨年、シード権を獲得し自分へのご褒美にベンツを購入しようとした際には「賞金女王にならないと外車はないだろう」と自覚を求められた。地に足をつけて一歩ずつ前に進め。それが師匠の教えだった。

 「それで今季はとりあえず1勝を目標にしました。ジャンボさんにはスキップしながら“1勝しました”と報告に行きたいです」。師匠との当面の約束は果たした。次の目標は一日でも早くライバルたちに追いつくことだ。「早く2勝目を挙げないといけないですね。いずれは海外に挑戦し世界一を目指したいですから」。師匠とともに目指す頂は高く、そしてまだ遠い所にある。

 《意外?紺と白の「勝負服」で験担ぎ》8頭身のモデル体形で“イケイケ”に見える原英だが、大事な試合では験担ぎをする意外な面もある。「実は今日は勝負服を着ていました。紺色と白。それで、朝からピリッとしてました」。高校時代から色の持つパワーに興味があり独学で勉強。「白は心を真っさらにしてくれる。ブルー系は(頭を)冷静にしてくれます。それできょうは紺と白にしました」。昨年下部ツアーで2勝したときに着用していたのも白紺の勝負服だった。

 ◆原 英莉花(はら・えりか)
 ☆生年月日 1999年(平11)2月15日生まれ、横浜市出身の20歳。
 ☆サイズ 1メートル73、58キロ。
 ☆ゴルフ歴 10歳から始め、湘南学院高在学中にジャンボ尾崎に弟子入り。16年のリゾートトラスト・レディースでローアマ。2度目の挑戦だった昨年7月のプロテストに合格(90期生)。
 ☆優勝 昨年3月の下部ステップアップツアー「ラシンク・ニンジニア RKBレディース」で初優勝。6月に2勝目を挙げ、暮れの新人戦加賀電子カップ(ツアー外競技)制覇。
 ☆賞金シード 昨季は約2937万円を稼ぎ、年間ランク38位で初のシードを獲得。
 ☆飛ばし屋 今季のドライビングディスタンスは247.25ヤードでツアー全体で9位。
 ☆目標とする選手 同じ高身長(1メートル85)のミシェル・ウィー(米国)。

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