全ての道は北京に通ず ジュニア転向へ白岩優奈を動かした一言「プライドを捨てろっ!」

[ 2019年3月7日 08:30 ]

<フィギュア・ロシア杯>エキシビション、笑顔で演技をする白岩優奈(撮影・小海途 良幹)
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 フィギュアスケートの世界ジュニア選手権が6日、クロアチア・ザグレブで開幕した。女子は8日にショートプログラムが行われる。シニアからジュニアへと転向して臨む白岩優奈(17=関大KFSC)にとっては、勝負の舞台となる。

 今季はシニア2年目。GPシリーズ・ヘルシンキ大会4位、同ロシア杯5位と殻を破れずにいた。昨年12月の全日本選手権を控える時期に、大きな決断を下す。それがジュニアへの転向だった。全日本選手権9位で世界ジュニア選手権の出場権を獲得。「たくさんの経験が必要だと思った。来季、GPシリーズ2戦(の出場権)をもらいたいなら、世界ジュニアでシーズンベストを更新するしか道はない」と語る。

 容易に心変わりしたわけではない。シニア1年目の昨季は「謎のプライドがあった。何点を出せば何位、というプライドもあったのかなと思う」と振り返る。シニアかジュニアか。悩む白岩に田村岳斗コーチ(39)の言葉が突き刺さった。「そのクソみたいなプライドを捨てろっ!」――。そう言われ、さらに「チャンピオン・シリーズに出られるなら、どんな大会でも出ろ」と説得された。

 コーチの後押しもあり、腹をくくった。「シニア2年がたってジュニアに戻るのは、いろんなご意見もあると思う」と前置きした上で「ジュニアに出る意味をしっかりと考えながら、自分のために滑るので結果を残せて行けたら」と力を込めた。

 ジュニアのフリーはシニアより30秒短い3分30秒となる。悪戦苦闘しながらも1月の全国高校総体で「霧が晴れてきた」と語り、2月のババリアン・オープン(ドイツ)でジュニアのミニマムスコアを獲得。満を持して迎える世界ジュニアの舞台には、強敵も待つ。超高難度の4回転ルッツを操るアレクサンドラ・トルソワ(14)、アンナ・シェルバコワ(14)のロシア勢だ。それでも、白岩は「現在、4回転は練習しているところ。年下の子がなぜ安定感のあるジャンプが跳べるのかを間近で自分の目で見ることができる。本当にいい機会」とプラスに捉えた。

 世界ジュニアのリンクで滑る白岩の背中を押す、多くのファンもいる。昨年11月、22年北京五輪出場を目指す一部活動費をクラウドファンディングで募り、2500人以上の力によって約1480万円が集まった。「たくさん支援、応援してくださる方がいる。恩返しできる機会がまた1つ増えたのはありがたいことだと思う。ちゃんと結果で恩返しできるように頑張っていきたい」と自覚を込める。シニアからジュニアへ。熟考を重ねた根幹に、ある思いがある。白岩は言う。「全ては北京オリンピックのためです」。(大和 弘明)

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2019年3月7日のニュース