体操パワハラ問題 塚原夫妻“シロ”決着、職務復帰発表

[ 2018年12月11日 05:30 ]

日本体操協会の塚原光男副会長(左)と塚原千恵子女子強化本部長
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 塚原夫妻は“シロ”だった。体操女子の宮川紗江(19=高須クリニック)が日本協会の塚原千恵子氏(71)、夫の光男氏(70)からのパワハラを告発した問題で、日本協会は10日、都内での臨時理事会で第三者委員会の報告を基に対応を協議。第三者委は塚原夫妻のパワハラはなかったとし、日本協会は一時職務停止を科していた千恵子氏の女子強化本部長職、光男氏の副会長職への復帰を発表した。

 塚原夫妻の処分は解除され、事実上の「無罪」となった。理事会には光男氏だけが出席し、冒頭に「今回の騒動について、大変お騒がせしました」と謝罪したという。日本協会は千恵子氏からも謝罪のコメントを求める。

 8月29日に宮川が会見を開き、塚原夫妻からのパワハラを告発。自らへの暴力行為で無期限登録抹消処分となった速見佑斗コーチ(35)と宮川を、千恵子氏が不当に引き離そうとしたという主張について、第三者委は「引き離し行為は認められない」とした。また、7月15日の塚原夫妻との面談で高圧的な態度を取られたと主張したことについても、「悪性度の高い否定的な評価に値する行為であるとまでは客観的に評価できない」と結論づけた。

 ただ、第三者委は塚原夫妻の言動に「配慮に欠け不適切な点が多々あった」とも指摘。日本協会に対して、強化本部長の職務と権限の明確化など7項目の提言も行った。日本協会の山本宜史専務理事は「パワハラではないけれど、それに準ずるようなことがあった。改善しないといけない」と述べた。今後、「提言事項検討委員会」と「特別調査委員会」を立ち上げる。前者では提言をどのように遂行するかを検討し後者では塚原夫妻や宮川の協会を通さないテレビ出演などが懲戒対象になるかを含め調査。山本専務理事は「調査によっては責任が発生するかもしれない」と今後の処分の可能性も示唆した。

 8月29日の会見から103日。宮川はこの日、代理人弁護士を通じて「信じられない。何でこんな結論が出たんだろう」とコメント。また、自身のツイッターでは今月から徳洲会で練習できるようになったことを報告し「色々と複雑な心境もありますが、沢山(たくさん)の支えでこれからも頑張っていけそうです」とつづった。

 【パワハラ問題経過】

 ▼8・29 宮川が会見を開き、日本協会の塚原夫妻からパワハラを受けたと主張。その後、日本協会も会見し、宮川を指導していた速見コーチの暴力行為を時系列で説明した。

 ▼8・30 塚原夫妻が取材に応じ、宮川の主張を「うそ」と説明。日本協会は第三者委員会でパワハラの有無を調査することを決めた。

 ▼8・31 塚原夫妻が代理人弁護士を通じて文書で見解を発表。面談時に宮川は「終始、高圧的だった」とされた千恵子氏は会話を録音していたことを明かし、高圧的ではなかったと反論。一方で謝罪の言葉も並べた。

 ▼9・5 速見コーチが会見。自らの暴力行為を謝罪し、宮川とのセットで千恵子氏が指導する朝日生命への勧誘が過去に3度あったことも明かした。

 ▼9・10 日本協会が臨時理事会を開き、第三者委員会の調査結果が出るまで塚原夫妻を一時職務停止にすることを決定。千恵子氏が10〜11月の世界選手権の女子の指揮を執らないことになった。

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