貴公俊 初場所から新しこ名「貴ノ富士」に、元貴親方が命名

[ 2018年12月11日 05:36 ]

新しこ名「貴ノ富士」を披露する貴公俊(撮影・久冨木  修)
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 大相撲の東幕下10枚目・貴公俊(たかよしとし、21=千賀ノ浦部屋)が来年初場所(1月13日初日、両国国技館)の新番付から新しこ名になることが10日、分かった。前師匠の元貴乃花親方(元横綱)の花田光司氏が「貴ノ富士」と命名した。大相撲の歴史と伝統を受け継ぐ「富士」をしこ名に刻み、心機一転して再十両を目指す。

 由来は前師匠の先代にさかのぼる。貴公俊によると、元大関・貴ノ花に目をかけていた元関脇・玉乃海の愛弟子、元関脇・玉ノ富士とNHKの大相撲解説者、北の富士勝昭氏(元横綱)から、元貴乃花親方が「名誉ある名前を取らせてもらった。古き良き伝統を受け継いでもらいたい」という意味を込めてしこ名を付けた。夏頃から検討していたが、部屋の移籍などが落ち着いての改名となった。

 この日は十両復帰を狙う初場所へ、底冷えのする稽古場で体を動かした。稽古が終わり、紙に書かれた“貴ノ富士”の字を見ると厳しい表情は一変、「自分にはもったいないぐらい物凄くいい名前。心強さもある」と目を輝かせた。

 7日に兄弟子の元幕内・貴ノ岩が付け人への暴力の責任を取り、現役を引退。会見中、女将さんが涙していたという。「移籍しなければ千賀ノ浦部屋にこんなことは起きなかった。(千賀ノ浦)親方と女将さんも苦しむことはなかった」。3月、自身も付け人に暴行をはたらき謹慎処分を受けた。「もう絶対やらない」と誓った中、元貴乃花部屋の消滅に伴い移籍。新天地で「引き受けて良かった」と喜んでもらえるよう改心してきただけに、兄弟子が起こした不祥事は人ごとではなかった。

 心を痛めた人の姿に「申し訳ない」と責任を痛感したが、師匠が見守る中で汗を流すと自然と気持ちが前を向いた。「自分たちが強くなって親方と女将さん、前師匠と前の女将さんに本気で恩返ししたい」。女将さんの涙は原動力となった。貴ノ富士の力士人生に、感謝の気持ちがしっかりと刻まれた。

 ◆貴公俊 剛(たかよしとし・つよし=本名・上山剛)1997年(平9)5月13日生まれ、栃木県小山市出身の21歳。茨城・境一中では双子の弟・貴源治とともにバスケットボール選手として活躍。中3の夏に体験入門したのをきっかけに貴乃花部屋へ入門。13年春場所で初土俵。17年夏場所新十両の貴源治に続いて18年春場所十両に昇進し、史上初の双子関取となった。1メートル85、143キロ。得意は右四つ、寄り。血液型O。

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