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スーパーボウルで敗れたブレイディーが現役を続行する理由 それは家族愛?

敗北が決まって座り込んだブレイディー(AP)
Photo By AP

 【高柳昌弥のスポーツ・イン・USA】NFLスーパーボウルではイーグルスが初優勝を飾った。もちろんその劇的な勝利はとても印象的だった。ただし、私にとって最も心に残った写真はこの1枚だった。

 座り込んでいるのは2年連続6度目の優勝を逃したペイトリオッツのQBトム・ブレイディー。40歳になったのだから負けてももっとサバサバとしているかと思ったら、チームの誰よりも悔しがっていたように見えた。

 「試合が終わって15分後には来季のことを考えざるをえなくなった。辞める理由が見当たらない」。1977年8月3日生まれ。19季目を迎えるとなると開幕前に年齢は41歳になっている。30代後半の選手でさえ少数派のNFLにあって、ブレイディーの年齢は多くの人たちの注目を集めている。「すべて勝ち取ったはず。そこまで頑張らなくもいいだろう」。そう感じているのは私だけだろうか?

 40歳なのに今季のパス獲得はリーグ1位。シーズンMVPにも選出された。確かに体力と技術面ではまだやっていける自信があるのだろう。

 ただそれだけではないとも思っている。

 ファルコンズと対戦して25点差のビハインドから試合をひっくり返した昨年のスーパーボウルでは、乳がんと闘病中だった母ギャリンさんが観戦に訪れていた。ブレイディーがスーパーボウルに出場する時には毎回、スタジアムに足を運んでいたのだが、昨年はさすがにきつかったようだ。

 試合直前まで病名と容態はふせられ、ギャリンさんは抗がん剤治療で失った頭髪を隠すためにバンダナを頭に巻いて家族に支えられるようにして息子の試合を観戦していた。

 それから1年。治療が効を奏し、ギャリンさんは快方へと向かった。今年はバンダナも必要ではなく、試合前日の3日にはスタジアムで撮影された家族全員の記念写真の中に収まっていた。

 ブレイディーはことのほか家族のことに時間を割いている。母への思いも強いのだろう。自分がプレーを続けることが、母にとっての生きがいだと信じているのかもしれない。この1年、ギャリンさんが闘病生活に耐えられたのも、ペイトリオッツの背番号12がフィールドにいてこそ、だったとも言える。

 NBA元ブルズのマイケル・ジョーダン氏(現ホーネッツ・オーナー)は父親が殺害されるという事件の後、最初の引退を表明した。家族がスポーツ選手に与える影響はことのほか大きい。ブレイディーにとっても、自身の現役生活と母の人生は表裏一体なのだろう。

 スーパーボウルに8回出場して通算5勝3敗。負けてもなおブレイディーの競技人生は終わらなかった。実に頼もしいと思う。こうなったらあと10年やって50歳の現役QBを見てみたいとも思う。たぶん私たちが今見ている彼の姿は、何世紀先になっても語り継がれているのではないだろうか?

 第52回スーパーボウル。敗者を写した1枚の写真を私は絶対に忘れない。座り込んで見せた彼の背中に感じたのは哀愁ではなく“気迫”だった。(専門委員)

 ◆高柳 昌弥(たかやなぎ・まさや)1958年、北九州市小倉北区出身。上智大卒。ゴルフ、プロ野球、五輪、NFL、NBAなどを担当。スーパーボウルや、マイケル・ジョーダン全盛時のNBAファイナルなどを取材。50歳以上のシニア・バスケの全国大会に7年連続で出場。

[ 2018年2月6日 07:30 ]

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