安藤友香 歴代4位!!初マラソン国内最高 超高速世界切符

[ 2017年3月13日 05:30 ]

名古屋ウィメンズマラソン ( 2017年3月12日    ナゴヤドーム発着・スタート時の天候=晴、気温10度、湿度54%、北北東の風0・3メートル )

日本勢トップの2時間21分36秒でゴールし、笑顔の安藤友香
Photo By 共同

 陸上の世界選手権(8月、ロンドン)女子代表の最終選考会を兼ねて行われ、安藤友香(22=スズキ浜松AC)が初マラソン国内最高で日本歴代4位の2時間21分36秒で2位に入った。日本陸連の派遣設定記録2時間22分30秒を突破し、代表に決定。「忍者」と称される独特なフォームで好タイムを出し、2020年東京五輪の有力候補にも躍り出た。リオデジャネイロ五輪銀メダルのユニスジェプキルイ・キルワ(32=バーレーン)が2時間21分17秒で3連覇を果たした。

 ニューヒロインの誕生だ。腕をだらりと下ろして、あまり振らない「忍者」と称される独特のフォーム。22歳の安藤はリオ五輪銀メダルのキルワと18キロ付近から一騎打ちを演じた。レース終盤に遅れたとはいえ2位で堂々のフィニッシュ。初マラソンの日本人最高、日本人歴代4位となる好タイムで世界選手権代表の座をつかんだ。

 「初マラソン日本最高なんて頭になかった。最低限(2時間)22分半を切ることとキルワさんに付くことを考えていた」

 勝負に出た。2段階に分かれたペースメーカーのうち、速い方を迷わずに選択。「後半なんかどうでもいいやと思って走った」と、脱落するライバルたちを尻目にペースを保った。キルワには33キロすぎから引き離されたが、それまで2度のスパートに食らいついた。待望の新星が現れ、日本陸連の瀬古マラソン強化戦略プロジェクトリーダーは「張本さんに言わせると大あっぱれ」と絶賛。本紙野球評論家の張本勲さんの口調で、びわ湖毎日では男子に「喝」を入れたが、今回はその逆だ。

 その特徴的なフォームは「上半身を使うのが下手で、どうしたら全身を使えるのか試行錯誤でたどり着いた」という。シドニー五輪金メダルの高橋尚子さんは「効率がいいマラソンに特化した走り方。忍者走り」と評した。

 初の42・195キロを走り抜くと指導を受ける里内コーチの胸に飛び込んで涙を流した。里内コーチは「天才型。天才にありがちな失敗もよくする。その部分を、マラソンを目指すことで克服して今回の結果になった」と目を細めた。世界選手権の先に、26歳で迎える東京五輪を見据える。「東京五輪は夢だった。今は目標になりました」と安藤。3年後の主役候補に力強く名乗りを上げた。

 ◆安藤友香(あんどう・ゆか)

 ☆生まれとサイズ 1994年(平6)3月16日、岐阜県海津市出身。1メートル60、43キロ。

 ☆経歴 海津市立日新中で陸上を始め、2年時にジュニア五輪1500メートル出場。豊川(愛知)で全国高校駅伝出場。

 ☆移籍続き 豊川卒業後にミズノ、1年後に時之栖へ。14年1月からスズキ浜松AC所属。

 ☆固い絆 里内正幸コーチ(40)のもとで開眼。移籍が続いた原因が内面にもあると指導を受ける。この日は手袋をした右手に「絶対あきらめるな」とメッセージが書かれていた。

 ☆お笑い好き チームメートの牧川恵莉(23)、渡辺喜恵(21)は「最近、(タレントの)ブルゾンちえみにはまっている。普段は明るい」と証言。

 ☆家族 この日は母・民弓(たゆみ)さん(51)、祖母・福間綾子さん(76)が応援に駆けつけ、父・良貴さん(56)はテレビ観戦。

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2017年3月13日のニュース