稀勢堂々 綱1勝!土俵入りも完璧「自分の相撲を信じながらやるだけ」

[ 2017年3月13日 05:30 ]

大相撲春場所初日 ( 2017年3月12日    エディオンアリーナ大阪 )

<大相撲春場所初日>豪風(左)を押し出しで下す稀勢の里
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 新横綱の稀勢の里(30=田子ノ浦部屋)が堂々の内容で白星発進した。東前頭筆頭・豪風(37=尾車部屋)の当たりをしっかり受け止め、相手の動きをよく見て押し出した。雲龍型の土俵入りも無難にこなし、最高の形で横綱としての第一歩を踏み出した。5場所ぶりの優勝を狙う横綱・白鵬(32=宮城野部屋)は結びで小結・正代(25=時津風部屋)に敗れ、休場明けの日馬富士(32=伊勢ケ浜部屋)にも土がついた。

 「地位が人をつくる」というが、稀勢の里には早くも横綱の風格が漂っていた。昇進が正式決定した初場所後の伝達式から46日。新横綱の初日でも落ち着いていた。「変わらず集中してやった。(雰囲気の違いも)土俵に上がれば変わらない」。この場所が特別な場所ではないかのように淡々と答えた。

 幕内最年長の豪風を相手に、横綱相撲を披露した。「立ち合いだけ集中した」という一番。右足から踏み込んで相手の当たりを胸で受け止め、下からあてがって前に出た。引かれても下半身はまったくぶれない。常に豪風を自分の正面に起き、全く問題なく横綱1勝を挙げた。土俵下で新横綱の一挙手一投足を見つめていた藤島審判長(元大関・武双山)は「豪風には悪いが、クラスが違う。自信満々に見えた。周りを見ながら声援を力にしていた感じ」と分析した。

 横綱土俵入りにも余裕があった。19年ぶりの日本出身新横綱には、4横綱の中でもっとも大きな声援が浴びせられても、プレッシャーには感じない。2月5日の大相撲トーナメント(両国国技館)では1分20秒、同11日のNHK福祉大相撲(同)では1分23秒だったが、この日は1分28秒。動作と動作の間にためができてメリハリがあった。出来について聞かれると「どうだろう。見てる人が分かるんじゃない」と振り返った。

 稀勢の里は昇進後から「平常心」を強調してきた。5度の綱獲りに失敗しても、諦めずに鍛錬を続けたことで初優勝と横綱昇進につなげた。それが大きな自信になっている。この日も「自分の相撲を信じながらやるだけ」と言い切った。横綱としていかにあるべきか。それが既に見えている。

 白鵬、日馬富士が敗れ、鶴竜もヒヤリとする場面があった。その中でただ一人、安定感を見せた。00年春場所以来、17年ぶりの4横綱時代。相撲への取り組み方を変えない新横綱が勢力図を変えていく。

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2017年3月13日のニュース