沖縄でもらった心の栄養…宮里藍“記念館”で一番見てほしいもの

[ 2017年3月13日 10:40 ]

東村文化・スポーツ記念館の展示コーナーを見学する(左から)宮里聖志、宮里藍、父の宮里優さん
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 【福永稔彦のアンプレアブル】女子ゴルフの宮里藍(31=サントリー)が3月6日、故郷の沖縄県国頭郡東村に建設された「東村文化・スポーツ記念館」の落成式に出席した。

 村の活性化や観光客誘致につなげようと総事業費約5億8000万円が投じられた同記念館内の展示施設には藍、長兄・聖志(40=フリー)、次兄・優作(36=フリー)の宮里3きょうだいのトロフィーやクラブ、ボールなど記念の品が飾られているほか、動画を上映する設備や人工芝グリーンまである。

 宮里藍は父・優さん(70)、聖志と展示品を見て回り動画を観賞。「こんな映像があったんだ」となつかしそうに目を凝らし、幼少期の水着姿の映像がスクリーンに映し出されると「恥ずかしい」を連発した。

 「1番見てほしいものは?」と聞かれると「40センチくらいの短いパターが置いてあるので、それを見てもらいたい」と答えた。スクリーンの前に設置された円柱形のガラスケースに収められているのがそのパターだ。長さは43センチ。宮里3きょうだいがゴルフを始めた頃に使用していたものだ。「私は4歳くらいから使っていた。聖志はもっと早くから使っていたかもしれない。相当久しぶりに(パターを)見て“ここから始まったなあ”という気持ちになった」と感慨深げだった。

 現役選手にもかかわらず“記念館”が建設されることには「まだ早いという気持ちもあった」と戸惑いもあった。しかし実際に見学して「飾ってもらえるものが増えていくように今は頑張ることが求められていると思う。そこをモチベーションに頑張りたい」と背中を押されているような気持ちに変わった。

 展示施設内には、同じく東村出身で琉球古典音楽の人間国宝・島袋正雄さん(94)、重量挙げのアトランタ、シドニー五輪代表・吉本久也さん(43)のゆかりの品も並ぶ。落成式で2人と対面し「島袋先生や吉本さんにもお会いできて刺激を受けた。小さな村からこれだけ文化人とスポーツ選手が出ていることは凄いし、それを評価してもらえるのもうれしい。身が引き締まる思い」と話した。

 6年ぶりに出場した国内ツアー開幕戦ダイキン・オーキッド・レディースはショットが絶不調で予選通過者中最下位の59位に終わった。不本意な成績だったが「(沖縄独特の)指笛を聞いてうれしかった」と言う。

 「沖縄の人からこんなに応援されているんだなと思った。このタイミングでシーズンの早い段階でそういうふうに思えたのは大きかった。それを励みに頑張りたい」と話す表情は明るかった。

 「年に1回くらい」しか帰ることのない故郷でもらった“心の栄養”。米ツアーを戦うための貴重なエネルギーとなるに違いない。(専門委員)

 ◆福永 稔彦(ふくなが・としひこ)1965年、宮崎県生まれ。宮崎・日向高時代は野球部。立大卒。Jリーグが発足した92年から04年までサッカーを担当。一般スポーツデスクなどを経て、15年からゴルフ担当。ゴルフ歴は20年以上。1度だけ70台をマークしたことがある。

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