【パラリンピック総括】20年東京へ金メダル0は痛かった

[ 2016年9月20日 08:55 ]

男子走り幅跳び(切断などT42)で銀メダルを獲得した山本篤

 日本選手団の金メダルは前回の5個からゼロになった。金メダル候補と言われた選手は何人もいたが、全盲スイマーの木村敬一も、義足ジャンパーの山本篤も、車いすマラソンの土田和歌子も、わずかの差で金メダルを逃した。

 彼らを責めるつもりは毛頭ない。例えば、木村は重圧から不眠となり、体調不安を抱えながら戦い続けた。レース後は肩を借りなければ歩けないほど、毎回力を出し切っていた。その姿には心を打たれた。彼らの取り組む姿勢は五輪に出場するトップ選手たちと同じだと改めて感じた。

 木村たちはパラリンピックに何度も出場している中堅、ベテラン選手だ。彼らに続く若手の成長が日本の課題であるのは明白である。山本は試合後「もっと日本の選手が勝つ姿を見せないといけない」と言った。「そうすればやってみようと思う選手が出てくる。4年間でメダル圏に届く選手も出てくると思う」と続けた。

 陸上(車いす)で2つの銀メダルを獲得した佐藤友祈はロンドン大会をテレビで見て感銘を受け、競技を始めた選手だった。パラリンピックの競技が普及、選手発掘、育成などの問題を抱える中、金メダルは可能性のある若者に対し、その競技に目を向けさせ、やる気にさせる大きな力があったと思う。佐藤友のような選手を多く生むきっかけになれたと思う。その意味では、20年東京大会に向けて、今大会で金メダルがなかったことは痛かった。4年後の東京大会。地元開催を盛り上げるためにも、その先の競技発展のためにも金メダルは必要だ。(パラリンピック担当・柳田 博)

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