我慢から一気の攻め…松岡修造「ようやく本当の錦織圭に会えた」

[ 2016年9月9日 07:46 ]

松岡修造氏

全米オープン第10日男子シングルス準々決勝 錦織 1―6、6―4、4―6、6―1、7―5 A・マリー

(9月7日 ニューヨーク ビリー・ジーン・キング・ナショナル・テニスセンター)
 【松岡修造の目】冷静にしていたつもりだが、つらくてつらくて最後は涙でほとんど見えなかった。最後にA・マリーがネットしたところは見たが、圭は冷静で普通のガッツポーズ。僕の方が泣き崩れてその後はどうなったか知らない。

 第1セットから第2セットの2―3までは、完敗した五輪の準決勝と同じだった。焦って、打ちすぎて、このまま終わってしまうのかと思った。ただ、圭はテニスをがらっと変えた。切り抜けるには自分のテニスを捨てるというか、我慢が必要だった。とにかくボールをつなげ、第1サーブも全力で打たなくなった。

 第2セットを凄く我慢して、第3セットにはリズムが合ってきた。第4セットは完全にゾーン。自分のテニスを取り戻した最終セットは、序盤の我慢のテニスは忘れて、むしろ打っていかなければいけなかった。なぜなら相手はA・マリーだから。引いたらおしまい。圭はそれを分かって打っていった。

 2年前の準優勝の原動力は勢いだった。怖いものゼロで全部が強打。今日は真逆。A・マリーが怖くてしようがない。心のどこかでは勝てないだろう、五輪と同じようになるだろうと思う自分と闘っていた。

 昨年の1回戦負けからずっとモヤモヤした思いを抱え、本当の錦織圭にはずっと出会えてなかった。試合に勝ち、優勝もしていたが、それは自分より少し下の選手が相手。今回は大事なポイントで攻めて、とてつもない壁をぶち破った。ようやく本当の錦織圭に会えた。4大大会優勝の扉はこれで開いた。

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2016年9月9日のニュース