松田、晴れやかに引退「役目果たせたかな」最後のレースも「3番」

[ 2016年9月9日 18:15 ]

ラストレースとなった岩手国体成年男子400メートル自由形決勝、3分51秒12で3位の宮崎・松田丈志

 プールから上がると、別れを告げるようにスタート台をぽんぽんとたたいた。競泳ニッポンの主軸として活躍した松田丈志選手(32)=セガサミー=が9日、盛岡市立総合プールで行われた岩手国体の成年男子400メートル自由形を最後に引退。「悔いはない」と晴れやかに、完全燃焼の競技人生に幕を下ろした。

 ラストレースで、近年は出場することが少なかった長距離種目を懸命に泳いだ。2008年北京、12年ロンドン五輪の200メートルバタフライ、リオデジャネイロ五輪の800メートルリレーで銅メダルを獲得したベテランは最後も3位。「3番には縁があった」と笑った。超満員の会場からは「松田最高」「お疲れさま」とねぎらう声が相次いだ。

 大会前は原点と言える宮崎県延岡市のビニールハウスのプールで調整した。恵まれているとはいえない環境で、久世由美子コーチ(69)と猛練習を積み、米国のマイケル・フェルプス選手ら世界の猛者と戦った。久世コーチは「特別な才能はなくても、頑張れば可能性が開けることを示してくれた」と語った。

 実直な人柄も魅力で、日本代表の平井伯昌ヘッドコーチ(53)が「重みが違う」と語る別格の存在感があった。記憶に残る名スイマーは「次の世代につなげることはできた。役目は果たせたかな」とすっきりとした表情だった。

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2016年9月9日のニュース