時代の節目を感じさせたパーマーの名誉スターター辞退

[ 2016年4月2日 08:43 ]

2015年大会のオナラリースタートに参加したアーノルド・パーマー (AP)

 ゴルフ界のキング、86歳のアーノルド・パーマー(米国)がマスターズの名誉スターターを辞退した。名誉スターターは大会初日、第1組スタート前に1番ティーからショットを放つ。野球なら始球式の投手にあたる。2004年まで50回連続でマスターズに出場し4度の優勝を誇るパーマーは2007年からこの役目を務めてきた。

 2010年からは往年の宿敵ジャック・ニクラウス(76=米国)とともに、2012年からはゲーリー・プレーヤー(80=南アフリカ)を加えた“ビッグ3”で儀式を行ってきたが「今がマスターズでのキャリアを終える時だ。永遠に続けたいが、思うようなショットを打つ体力がない」とのコメントを発表した。

 マスターズに名誉スターターが設けられたのは1963年。初代はともにスコットランド出身で後に米国の市民権を得たジョック・ハッチソンとフレッド・マクロード。ハッチソンは1920年全米プロ選手権に勝ち、翌年に故郷セントアンドリュースで開催された全英オープンで米国人として初めて世界最古のタイトルを獲得した。またマクロードは1908年全米オープン優勝者だ。

 その後はメジャー5勝のバイロン・ネルソン、キャリアグランドスラマーのジーン・サラゼン、1964年全米オープン覇者ケン・ベンチュリ、マスターズ3勝を含むメジャー7勝のサム・スニードが務めた。ニクラウス、プレーヤーを含めわずか9人。ゴルフ界に多大な貢献をした名選手だけに与えられる仕事だ。

 1984年と1995年にグリーンジャケットを手にしたベン・クレンショー(64=米国)は昨年オーガスタに別れを告げた。そしてメジャー通算8勝、マスターズ2勝の“新帝王”トム・ワトソン(66=米国)は今年の大会を最後に引退する意向を表明している。彼らは次世代の名誉スターターの有力候補だ。パーマーは「時は流れていくものだ」という言葉を残したが、まさに時代の節目である。(福永 稔彦)

続きを表示

2016年4月2日のニュース