16歳板橋五輪初切符 大技「109C」封印し決勝進出

[ 2016年2月23日 05:30 ]

女子高飛び込みで五輪出場を決めた板橋美波の準決勝の演技

飛び込みW杯

(2月21日 ブラジル・リオデジャネイロ)
 リオデジャネイロ五輪最終予選を兼ねて行われ、女子高飛び込み準決勝で板橋美波(16=JSS宝塚)が296・35点の10位となって決勝へ進み、初の五輪出場を決めた。決勝は302・75点の9位だった。準決勝進出で五輪出場枠を日本にもたらした板橋は、16位以内に入ることなどを求めた日本水連の選考基準を満たした。佐々木那奈(17=JSS宝塚)は準決勝で265・80点の18位に終わり敗退。代表入りを逃した。

 16歳は勝負強かった。14位で迎えた準決勝最終演技。鋭い跳躍で宙に舞った板橋は、体をねじらせ回転をほどきプールへ一直線。小さなしぶきとともに歓声が上がり「開き直って最後だから思い切りやった。五輪が決まったので喜びたい」と笑った。土壇場で73・60点の高得点で盛り返し、合計296・35点の10位で決勝進出。馬淵崇英コーチも「自分の演技をして挽回できた」と称えた。

 予選、準決勝と女子では世界唯一となる前宙返り4回半抱え型(109C)を封印。昨年末から1カ月の中国合宿を行うなど調整してきたが、練習段階からコーチは「109Cで失敗するよりも107B(前宙返り3回半えび型)を確実に決めて決勝に行こう」と安全策を取った。日本出発前は「自分以外が当確して自分が泣いている夢を見ていた」と重圧を感じ、本番前には左足を痛めるピンチもあったが、リスク回避の作戦が結果的に吉と出た。

 五輪を見据えた決勝では7位で迎えた4本目で109Cを繰り出した。果敢に挑戦した大技は「水の位置が分からなくなった」と体が傾き18・50点。失敗に終わり最後は9位に沈んだ。昨夏の世界選手権ではこの技で86・95点をマーク。今大会で同じ点数を出していれば370点を超え、パム(マレーシア)の350・50点を上回る4位相当で、3位との差も9点台だった。唯一無二の大技の精度を上げれば本番での表彰台も見えてくる。

 3メートル板飛び込みで既に5度目の五輪出場を決めている第一人者の寺内健が「化け物」と評する逸材。台で跳ねてからは同じスピードで水面へ落ちるのが普通だが、馬淵氏は「美波は空中でどんどん加速する。まねできない」とその潜在能力にほれ込む。飛び込みでは日本人初のメダル獲得という期待を背負う16歳は「今回は失敗してしまったが、五輪では決めたい。どんな状況でも対応できるようにメンタルを強くしたい」と力を込めた。

 ≪日本人最高は4位≫日本人選手の五輪での飛び込みの最高成績は4位。36年ベルリン大会の柴原恒雄が板で、大沢礼子が高で記録した。5度目の出場を決めている寺内は00年シドニー大会の高で5位、板で8位、04年アテネ大会も板で8位入賞を果たしている。

 ◆板橋 美波(いたはし・みなみ)2000年(平12)1月28日、兵庫県宝塚市生まれの16歳。宝塚小1年の時に水泳を始め、小3で飛び込みに転向。御殿山中3年の14年日本選手権は板で最年少14歳で優勝。甲子園学院高1年の15年日本室内選手権は高で日本人過去最高の404.20点を記録し優勝。15年世界選手権代表。家族は元柔道家の父・秀彦さん、母・美智子さんと兄。中学3年間で身長は3センチしか伸びず1メートル50。毎日はかりに乗って体重を管理し43キロ。

 ▽高飛び込み 水面から高さ5メートルと7・5メートル、10メートルに固定された台から女子は5回、男子は6回プールに飛び込む。それぞれ違う演技をこなして7人の審判が出した上下2人の点数をカット。残り3人の合計点と技の難易率を掛けた得点を競う。

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