ボルト 9秒79で連覇 0秒01差で“無敗王者”ガトリン撃破

[ 2015年8月24日 05:30 ]

男子100M決勝を制し、連覇を達成したボルト(右)左はガトリン

世界陸上第2日 男子100M

(8月23日 中国・北京 国民体育場)
 世界最速の男を決める男子100メートルの決勝が行われ、ウサイン・ボルト(29=ジャマイカ)が9秒79で優勝した。今季は左足の故障などで出遅れていたが今季絶好調でここ2年間、不敗のジャスティン・ガトリン(33=米国)を100分の1秒差で退け、この種目では2大会連続3度目の優勝を飾った。世界選手権では通算9個目の金メダルで、男子のカール・ルイス(米国)らを上回り史上最多となった。女子100メートル予選では7組に出場した福島千里(27=北海道ハイテクAC)が11秒23で3位に入り、2大会ぶりに準決勝に進んだ。

 “鳥の巣”の愛称を持つスタジアムが歌っていた。ウイニングランに浸る勝者を称え、場内に流れた曲はジャマイカ出身、ボブ・マーリーの名曲「ワンラブ」。勝者は、やはりボルトだった。9秒79。人類最速の肩書を防衛した。

 「調子は万全ではない。ただ俺の目標は引退するまで1番であり続けること。衰えたという人がいるかもしれないが、まだまだ速く走れる」

 まくし立てるように己の強さを誇示したのは、余裕などなかったからだ。決勝はガトリンと意地のぶつかり合い。苦手のスタートをクリアしてライバルと並走。中盤になっても、その差は変わらない。最後は2人とも力任せのゴール。ボルトは歯をむきだしにし、ガトリンは足がもたついた。走りに滑らかさはない、速さよりも強さを決める戦い。わずか0秒01差でボルトが制した。

 今季は雌伏の時を過ごしてきた。骨盤付近の痛みで夏前の3試合を欠場。不安説がささやかれた。事実、大会に入ってもボルトらしさが消えていた。この日の準決勝は20メートル地点でつまずくアクシデント。超人的な追い上げで冷や汗の1組1位突破をした。かたや、今季絶好調のガトリンは予選から好タイムを連発。王座陥落のムードは高まっていたものの、最後は金メダル。ゴール後、左足でサッカーボールを蹴るしぐさをしてみせた。それはあたかも雑音を蹴り飛ばすかのようだった。

 「北京は競技人生の原点だ。最高の思い出が詰まった場所に戻ることができて興奮しているよ」

 大会前に語っていた通り、ジャマイカの英雄の立志伝は北京から始まった。08年の五輪は3種目で世界新&金メダル。世界に衝撃を与えた。今年になって、当時の秘話を明かしてまた世間を驚かせた。日本で5月に発売された自伝。中華料理が口に合わず、北京五輪中にチキンナゲットを1日100個、10日で1000個食べたという仰天エピソードを披露した。何から何まで規格外だ。

 世界選手権で通算9個目の金メダルを手にした。並んでいたカール・ルイス、マイケル・ジョンソン、アリソン・フェリックスをかわして単独首位に立った。これからも金色のカーペットの上を歩いて行く。

 【男子100メートル】
(1)ボルト(ジャマイカ) 9秒79
(2)ガトリン(米国) 9秒80
(3)ブロメル(米国) 9秒92
(3)デグラッセ(カナダ) 9秒92
[世]ボルト(ジャマイカ) 9秒58
[日]伊東 浩司 10秒00

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