国枝、3年連続2冠!30歳なお進化「常に想像超える選手に」

[ 2015年2月1日 05:30 ]

優勝を決め、両手を上げて喜ぶ国枝(AP)

全豪オープンテニス第13日

(1月31日 オーストラリア・メルボルンパーク)
 車いすの部の男子シングルスで第1シードの国枝慎吾(30=ユニクロ)が8度目の優勝を飾った。第2シードのステファン・ウデ(44=フランス)に6―2、6―2とストレート勝ち。ダブルスと合わせ3年連続の単複2冠となった。女子シングルス決勝は第1シードのセリーナ・ウィリアムズ(33=米国)が第2シードのマリア・シャラポワ(27=ロシア)にストレート勝ち。33歳での優勝は昨年の李娜(リナ)(中国)の31歳を抜き、68年オープン化以降の大会最年長記録となった。

 何回味わっても4大大会優勝の喜びは格別だ。6番コートで行われた決勝戦。バックハンドのショットをウデが見送った瞬間、国枝は歓喜の雄叫びを上げた。「8度目になったけど優勝はいつでも最高」と太陽にきらきらと輝くトロフィーを受け取った。

 前日にダブルス優勝を飾ったパートナーとのライバル対決。「ウデは世界一のサーバー。自分は世界一のリターナーと思っている」と相手のサーブ時にはコートの中へと入り込んで、攻撃的なリターンを放った。ラリーでもオフに強化してきたフォアハンドで流れを引き寄せた。

 丸山弘道コーチは「これまでバックハンドが良くて目立ちすぎていた。フォアも精度、配球ともに同じレベルにしていこうと練習した」と説明する。年末年始の沖縄合宿は球出しの基礎練習に費やし、10日間で1万8000球を打ち込んだ。国枝は「正月返上でやってきたことが実った。軸が安定して崩れなくなった。フォアで形勢を逆転できた」と練習の成果を実感した様子だった。

 これで4大大会シングルス通算18勝目。ツアー会場では国枝を研究しようと複数台のカメラが試合を撮影し、21歳のグスタボ・フェルナンデス(アルゼンチン)ら若手も成長してきている。ただし、そんな状況もモチベーションの一つだ。「僕の武器は対応力。常に周りの想像を超える選手になっていきたい」。まだまだ強くなるぞと言わんばかりの王者の笑顔だった。

 ◆国枝 慎吾(くにえだ・しんご)1984年(昭59)2月21日、東京都出身の30歳。9歳のときに脊髄腫瘍による下半身まひのため車いす生活に。11歳から吉田記念テニス研修センターで車いすテニスを始める。17歳から海外ツアーに参戦。04年アテネパラリンピックのダブルスで金メダルを獲得。06年10月に初めて世界ランク1位に。08年北京パラリンピックではシングルス金メダル、ダブルスで銅メダル。09年4月にプロ転向。12年ロンドンパラリンピックのシングルスを制し、2連覇を達成。1メートル73、65キロ。

 ▽車いすテニス 2バウンドまで返球でき、2バウンド目はコート外でもいい。コートの広さなどそれ以外のルールは一般のテニスと同じ。車いすは体の一部として考えられ、ボールが車いすに触れると失点になる。4大大会では02年全豪で初めて一般のテニスと同時期に同会場で開催され、09年からは全ての4大大会が同時開催となった(ウィンブルドンはダブルスのみ)。パラリンピックでは88年ソウルで公開競技となり、92年バルセロナから正式競技に。

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