条治、国内最高更新!「まさかこんなに爆発するとは」

[ 2012年10月28日 06:00 ]

男子500メートルで優勝し、ガッツポーズする加藤条治

スピードスケート全日本距離別選手権第1日

(10月27日 長野市エムウエーブ)
 男子500メートルで、10年バンクーバー五輪銅メダルの加藤条治(27=日本電産サンキョー)が、2回目に自身の持つ国内最高記録を0秒17更新する34秒64をマークした。1回目は35秒08で、合計1分9秒72とし、3年ぶり6度目の優勝を飾った。女子500メートルでは小平奈緒(26=相沢病院)が1回目38秒06、2回目38秒05と、国内最高記録を連発し、合計1分16秒11で4連覇。1500メートルも1分59秒10で2連覇し、2冠とした。

 インスタートの2回目。ゴール直後にタイムを確認した加藤は「ヨッシャー」と叫んだ。世界記録保持者・ウォザースプーン(カナダ)のリンク記録(34秒68)を更新する国内最高レコード。「まさかこんなに爆発するとは…。びっくりして雄叫びが出ちゃいました」。ガッツポーズを繰り返しながらウイニングランをするはしゃぎっぷりが、このタイムの持つ意味の大きさを示していた。

 34秒64。自身の持つ国内最高記録を一気に0秒17塗り替えた。「タイムは今までのものと比べものにならない」。空気抵抗の少ない標高1400メートルの米ソルトレークシティーの高速リンクでつくられた世界記録の34秒03にこそ及ばないが、標高約300メートルのリンクとしては驚異的なタイムだった。最近はスタートで力み、コーナーで「速くしなきゃ」と空回りする悪循環が続いていたが、今回はあえて「のろのろ出るぐらいのイメージ」で気持ちを抑えて入った。

 それでも100メートルの通過は全体トップの9秒56。すると「直線からコーナーでうまくシフトできた。(07年に34秒30の)世界記録を出したころに近い感じ」になった。「一歩の爆発力が久々に出た」とカーブも恐れず突っ込んだ。「飛ぶように駆け抜ける」と称された抜群のコーナーワークがよみがえった。

 6月に2歳下の一般女性と結婚。食事面などのサポートを受け、より競技に集中できるようになり「今までより心強いものがある。その分、結果に対する責任が増えた」。家族の存在も記録向上の要因となった。

 ただ、想定外の好記録にも浮かれる様子はない。「まぐれに近いものがある。変に自信過剰にならず、足もとを見てやりたい」。来季のソチ五輪の金メダルへ向け、エースがプレシーズンを最高の形でスタートした。

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2012年10月28日のニュース