愛 銀色の笑顔で8月中にも故郷・仙台市訪問へ

[ 2012年8月9日 06:00 ]

やっと手に入れた五輪のメダルを握りしめて笑顔の福原愛

ロンドン五輪卓球女子団体決勝

 銀の笑顔が咲いた。7日の卓球女子団体決勝で、日本は中国に0―3で完敗して銀メダルに終わった。福原愛(23=ANA)も第1試合で、シングルス金メダリストの李暁霞(24)に1―3で敗れたが、涙を見せずに笑みを浮かべた。東日本大震災で甚大な被害を受けた故郷・仙台市を、早ければ8月中にも銀メダルを持って訪問する。

 メダルを確定させた準決勝の後は濡れていた福原の瞳が、この日は乾いていた。中国との決戦に0―3で完敗。それでも全力を出し切った充実感があった。「準決勝を勝った後に涙は全部使っちゃった」。夢の表彰台。みんなで笑った。92年8月13日に卓球を始めてから7300日目。悲願のメダルが手に入った。

 「夢じゃない、夢がかなったんだって思いました。メダル自体も凄く重いけど、支えてくれた人の思いが詰まっているメダルなので、もっと重く感じます」

 シングルス金メダリスト・李暁霞との第1試合。第1ゲームを落として第2ゲームも5―9の劣勢に陥ったが、ここから意地を見せた。サーブやレシーブがさえ、怒とうの6連続得点でこのゲームを逆転奪取。ベンチに戻ると、李暁霞に声をかけられた。「あんなプレーをしてくるなんて予想できなかった」と。女王に冷や汗をかかせた福原は、「1ゲーム取れて成長の跡が見られたんじゃないかな」と胸を張った。

 3人の力が融合しての銀メダル。五輪のシード争いが激化すると遠征先で石川と口をきかなかったこともあるが、合宿などで時間を共有し絆を深めた。「団結力選手権があったら、間違いなく日本は世界一です」。最高の仲間と立った表彰台だった。

 宮城県仙台市出身の福原にとって、銀の輝きは特別な意味を持つ。「被災地にメダルを持って帰ることができて、凄くうれしい」。関係者は「なるべく早いうちに行きたい」と説明し、早ければ8月中にも仙台市を訪問する。今後は痛めていた右肘の治療もあって年内は休養。4年後のリオデジャネイロ五輪挑戦について福原は、「今は何も考えられないです」と話すにとどめた。次の目標設定なんて、今はまだ必要ない。輝く銀メダルとともに、胸を張って行こう。福原を待つ被災地へ。

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2012年8月9日のニュース