“神の手”だ!大山、プレーオフ制し3年ぶり優勝

[ 2011年10月24日 06:00 ]

クリーマーとのプレーオフを制し、ガッツポーズする大山

マスターズGCレディース最終日

(10月23日 兵庫・マスターズGC=6458ヤード、パー72)
 大山志保(34=フリー)が“神の手”で復活優勝を遂げた。6バーディー、1ボギーの67で回り、通算7アンダー、209で首位に並ぶと、ポーラ・クリーマー(25=米国)とのプレーオフを制した。プレーオフ3ホール目では右に曲げたボールが跳ね返ってフェアウエーに戻る幸運もあって勝利。08年のこの大会以来、3年ぶりとなるツアー通算12勝目を挙げた。
【最終R成績】

 打った瞬間「ファー」と叫んだ。18番でのプレーオフ3ホール目。大山の第1打は大きくスライスした。「OBかも」と覚悟を決めた時、ボールは大きく跳ねてフェアウエーに戻った。「この運を絶対に生かす。絶対にバーディーを取る」。気合を入れ直した残り158ヤードの第2打は「完璧」なショットでピン手前3メートルにピタリ。このバーディーパットを沈めて3年ぶりの優勝を飾った。

 大山がカートに当たったと思っていた第1打は、実はギャラリーの手首に当たっていた。ラウンド後「本当に申し訳ない」と恐縮していたが“神の手”に助けられただけではない。プレーも神がかっていた。本戦の18番では1・5メートルスライスする15メートルのバーディーパットをねじ込んでクリーマーとのプレーオフに持ち込んだ。「ラインがきれいに見えた。入った時はスローモーションのようだった」。勝利への執念が2度の奇跡を呼んだ。

 06年の賞金女王も昨年はシード落ちの屈辱を味わった。優勝は08年のこの大会が最後。当時から左肘痛を抱え米ツアーに参戦した09年の8月、カナダ女子オープンで肘が曲がらなくなった。当時32歳。「手術をしてもゴルフは難しい」という声も聞こえた。「ゴルフがなくなったら私は何の価値があるんだろう」と毎晩のように泣き続けた。

 そんな時支えてくれたのがリハビリのために訪れたオーストラリアでお世話になったフォーガソン一家。知人の紹介で09年12月の手術前後からホームステイ。一家の主のラリーさんからは「ゴルフをしなくてもシホが元気なら私たちはハッピー。だからシホもハッピーでいよう」と励まされた。しかし復活を約束したラリーさんは2月に心臓発作で61歳で急死。「本当のお父さんみたいだった。やっと勝利の報告ができる」とこの話題の時だけは声を詰まらせた。

 空白の3年は無駄ではなかった。ピンチでも「つらいことを乗り越えてきたよねと自分に言い聞かせた」。同じ清元登子門下で妹弟子の古閑は引退を決めたが「私は元気な限り頑張りたい。若手に体力も気力も負ける気はしない。この優勝がステップ。また、賞金女王の目標もできた」。逆境を乗り越えて手にした勝利は、大山の「ゴルフ人生第2章」のスタートとなった。

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