母の出廷…怒りの貴花“ケジメの辞職”も

[ 2008年6月1日 06:00 ]

藤田憲子さん 貴乃花親方

 大相撲の貴乃花親方(35=元横綱)は31日、日本相撲協会と北の湖理事長(元横綱)が八百長疑惑記事を掲載した週刊現代(発行元・講談社)などを相手に起こした民事訴訟で、母のタレント藤田憲子さん(60)が被告側の証人として認められたことを受け、幹部職の役員待遇委員および審判部副部長を辞任する意思があることを明らかにした。貴乃花親方と藤田さんは現在交流はないが、協会と母が対立する事態になった場合は責任を取る考えだ。

八百長訴訟に藤田憲子さん登場

 予想もしなかった“八百長裁判”の急展開。所属する相撲協会と実母が裁判で対立する可能性が出てきたことに貴乃花親方は驚き、そして怒りをあらわにした。
 「(被告側の証人となることは)結果的に私と戦うということ。このまま状況が進んでいくのであれば、私は職を辞さなければいけないと思っております」
 週刊現代は昨年の3月10日号で北の湖理事長が現役時代、八百長に関与していたと報じた。同誌によると、1975年春場所千秋楽の優勝決定戦で、貴乃花親方の父である大関・貴ノ花(先代二子山親方=故人)に敗れた相撲で八百長を行ったとしている。貴乃花親方は今回の訴訟には一切関係していないが、藤田さんが被告の週刊現代側の証人として報道を裏付ける証言を行った場合は、相撲協会と決定的に対立することになる。
 貴乃花親方は藤田さんが先代二子山親方と離婚して部屋を飛び出して以降は交流が途絶えており、今回の出廷問題に関しても寝耳に水の状況だった。貴乃花親方には何ら責任はないが「へその緒がつながった母親がそういうことをするということになれば、理事長にも協会にも迷惑をかけることになる。私がけじめをつけないわけにはいきません」と覚悟を語った。
 角界を背負って立つと期待される貴乃花親方は、2月に35歳の若さで役員待遇委員の審判部副部長に抜てきされた。時津風部屋の暴行致死事件を受けて発足した再発防止委員会の部屋視察では、外部有識者による師匠会での講演会を提案するなど協会を思う気持ちは人一倍強い。その親方が辞任するような事態になれば、協会にとって大きな損失となる。貴乃花部屋は2日に5周年パーティーを迎えるが、その直前に起きた“非常事態”に、部屋関係者も困惑の色を隠せない様子だった。

 ◆八百長疑惑報道訴訟 日本相撲協会と北の湖理事長が原告となって八百長疑惑記事を掲載した週刊現代の発行元などに損害賠償などを求めた民事訴訟の弁論準備手続きが30日に東京地裁で行われ、原告側が北の湖理事長、被告側が藤田さん、原稿を執筆した武田頼政氏、元小結・板井の板井圭介氏の3人を証人として申請し、出廷することが認められた。4人は10月16日の弁論で証人尋問を受ける。原告側の弁護士は藤田さんの証人喚問について「(週刊現代の記述を)裏付けるための証人でしょう」と推測している。

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2008年6月1日のニュース