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9日開幕WEリーグ ちふれ埼玉のボンバー荒川 最年長45歳での29年目へ「自分でもびっくり」

[ 2025年8月7日 05:00 ]

ボールを追いかける荒川(C)ELFEN
Photo By 提供写真

 サッカー女子のWEリーグは9日に5季目のシーズン開幕を迎える。「ボンバー」の愛称で知られるちふれ埼玉の元女子日本代表FW荒川恵理子(45)は、今季もリーグ最年長選手として挑む。スポニチ本紙の取材に応じ、キャリアを振り返りながら現役生活に懸ける思いを語った。(取材・構成 坂本 寛人)

 強烈な日差しが降り注ぐ人工芝のピッチに、45歳の荒川の姿があった。見覚えのあるボンバーヘッドが風になびく。トレードマークは今も健在だ。

 「細かい動きをすると足の裏がやけどするくらい熱い。暑さで体を動かすのはしんどいけど、集中してできています」。都内の自宅から埼玉県飯能市のクラブハウスまでは電車通い。乗客から「ずっと現役でいてください!」と激励されることもある。高3だった97年から第一線で戦うレジェンドは今季、29年目のシーズンを迎える。

 スポットライトを浴びたのは21年前だった。04年アテネ五輪のアジア最終予選。北朝鮮戦でゴールを決め、五輪出場の立役者となった。女子サッカー人気が上昇、日本代表は「なでしこジャパン」と命名され、特徴ある髪形に加えスーパーでレジ打ちのアルバイトをしていた荒川の背景も話題になった。

 ただ、その後のキャリアは順風満帆ではなかった。4位に終わった08年北京五輪はケガで不完全燃焼で終わり、11年W杯は直前に左すねを疲労骨折してメンバー落ち。世界一に輝いた仲間は遠い存在になった。「震災があった日本に大きな力を与えて、W杯で優勝したことはうれしいけれど、少し寂しいような悔しいような…そういう思いもあった」。集大成とした12年ロンドン五輪も出場を逃した。

 それでも、逆にどん底を味わったことで選手生命は大きく延びた。11年の疲労骨折をきっかけに、自分の体と向き合うように。小麦粉や乳製品は口にせず、オフには断食を敢行。「ケガは何かのメッセージ」と言い聞かせてきた。30代になると「頭を使えるようになった」とプレーの幅も広げた。気付けば最年長WEリーガーとなり「体しか使えないタイプだったので、若いときは30歳までなんてとんでもないと思っていたけれど、今の年齢は自分でもびっくりする」と笑う。

 昨季は右太腿裏の肉離れで前半戦を棒に振ったが、2試合出場で最年長記録は45歳179日に伸びた。「年齢は数字」と記録に関心はないが、心は無我夢中でボールを追った「14歳」のままだという。

 「本当は引退した後のことも考えるべき年齢なのかもしれないけれど、何も考えていなくて」。頭に描くのは限界を超えた自分の姿だ。過去4シーズンは得点ゼロ。FWでありながら、シュート意識が低いことは20代から自覚しており「昔から“なんでパスしちゃうの?”と言われていて、今でも言われます」。45歳を過ぎてもなお、真正面から課題と向き合っている。

 「自分はここまでだと思ったらそれまでだし、変われると思ったら変われる」。飽くなき向上心が女子サッカー界のカズ、“クイーン荒川”を突き動かす。

 ◇荒川 恵理子(あらかわ・えりこ)1979年(昭54)10月30日生まれ、東京都練馬区出身の45歳。下部組織・読売メニーナ(現日テレ・メニーナ)から読売ベレーザ(現日テレ東京V)に昇格し、国内外5クラブでプレー。レジ打ちの仕事は15年まで続けた。A代表は00年に20歳で初招集。03年、07年W杯、04年アテネ、08年北京五輪に出場。国際Aマッチ通算72試合20得点。パーマの頻度は3カ月に1度。1メートル66。利き足は右。

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