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怪物エムバペ、決勝56年ぶりハットも神の子に屈した フランス、驚異的粘りも連覇届かず

[ 2022年12月20日 04:50 ]

FIFAワールドカップカタール大会決勝   フランス3―3(PK2-4)アルゼンチン ( 2022年12月18日    ルサイル競技場 )

得点王に輝いたエムバペ。表彰式でマクロン大統領に労われたが笑顔はなし(AP)
Photo By AP

 史上3チーム目の2連覇を狙ったフランスは決勝でアルゼンチンに3―3の同点の末、PK戦で2―4で敗れた。FWキリアン・エムバペ(24=パリSG)は決勝で56年ぶり2人目のハットトリックを達成。今大会8得点でフランス人2人目の得点王を獲得するなど、記録ラッシュだった新世代の旗手は大きな足跡を初の中東開催で刻んだ。

 8万8966人を集めた会場が歓喜に揺れる。アルゼンチンの選手たちは3度目の優勝に沸き上がっていた。エムバペはピッチサイドから、その姿をぼうぜんと見守るしかできなかった。取材エリアでは生気の抜けたような表情で視線は下を向いたまま、報道陣の呼びかけには応えずに立ち去っていった。

 「俺は全てを夢見る。限界はないんだ。あなた方が言うように新世代だ。ロナウドとメッシを止める。誰か新しい選手を見つけないと駄目なんだ」。そう話していた“怪物”が真骨頂を発揮した。0―2の後半35分にPKで1点を返してから、わずか97秒。パスを頭で味方に落とすと、迷わずスペースへ。リターンパスは浮き球。倒れ込みながら右足を振り抜いた。

 先制点を決めるなど前半2点に絡んだメッシとは対照的に、1点目を決めるまでの約80分間、ほぼ何もさせてもらえなかった。開始からボールが回ってこず、パスを受けても素早い寄せに苦しんだ。前半はチームとしてシュート0本。しかし、超一流は一つのきっかけで復活する。後半35分のPKから延長戦を終える40分でシュート6本を放ち、うち3本がゴールネットを揺らした。メッシに勝ち越し点を許し2―3と追い詰められた延長後半13分にもPKを冷静に決め、大会7得点で並ばれたメッシを突き放した。PK戦でも1人目のキッカーとして成功。この日、3本のPKは全てゴール左に蹴り込んだ。

 今大会8得点でフランス代表2人目の得点王。決勝で56年ぶり2人目のハットトリックを達成した。“王様”ペレ以来、初出場からの2連覇こそ逃したが、W杯決勝で2大会連続ゴールは60年ぶり2人目の快挙となった。

 18年の歓喜と22年の悲劇。23歳ながら積み上げた14試合で酸いも甘いも経験した。次のW杯こそ“次世代”ではなく“現代最高の選手”として、「エムバペの大会」にする。

 ☆決勝ハットトリック 66年大会ハースト(イングランド)以来、史上2人目。

 ☆決勝2大会連発 18年大会決勝の1ゴールと合わせ、2大会の決勝で得点は98、06年大会ジダン(フランス)以来史上5人目。2大会連続は58、62年大会ババ(ブラジル)以来2人目。決勝通算4得点はジダンらの3得点を抜き史上最多。

 ☆大会通算得点 12得点はペレ(ブラジル)と並び6位で、フォンテーヌのフランス最多13にあと1。23歳で2桁到達はG・ミュラー(西ドイツ)の24歳を抜き最年少。

 ☆得点王 フランス選手では58年フォンテーヌ以来2人目。

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2022年12月20日のニュース