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日本代表・森保監督、受け継ぐ“オシムの哲学” 「日本サッカーの日本化」は自身の指針に

[ 2022年5月3日 05:30 ]

07年の日本代表合宿で、指揮を執るオシム監督
Photo By スポニチ

 サッカーの元日本代表監督のイビチャ・オシム氏(享年80)が1日に死去したことを受けて、日本代表の森保一監督(53)が2日、追悼コメントを発表した。日本人の特長を生かした指導など、オシム氏が日本に残した遺産を継承していくことを宣言した。日本サッカー協会は6月の代表戦で黙とうを行い、ユニホームに喪章をつける方向で検討している。

 日本代表の森保監督は、日本サッカー協会を通じて「突然の訃報に触れ、深い悲しみと大きな喪失感を感じています。一緒のチームで仕事をする機会はありませんでしたが、オシムさんのサッカーに向けられた情熱、そしてサッカー哲学に大きな刺激をいつも受けていました」と追悼コメントを発表した。

 森保監督は、現役最後のシーズンとなった03年7月、J1仙台の一員として、オシム氏が率いる市原と対戦。フル出場したが、チームは1―5と完敗を喫し、オシム氏が目指す「考えて走るサッカー」を体感した。

 またS級ライセンス講習会ではオシム氏が指導するトレーニングを見学した。05~07年にはU―19、U―20日本代表のコーチを務めており、「日本サッカーの日本化」を掲げ、日本人の特長である勤勉さ、細かな技術を生かしたチームづくりを進めていたA代表監督から影響を受ける環境に身を置いてきた。

 「“日本サッカーの日本化”ということを提言いただき、とても勇気づけられたこと、今もその言葉を胸に日々サッカーと向き合っています」。当時学んだことは指導者としての指針となっている。

 20年11月、日本代表はオシム氏の自宅があるオーストリア・グラーツで親善試合を行った。新型コロナウイルス感染防止のため見送られたが、森保監督はオシム氏との再会を熱望していた。尊敬する存在であることはずっと変わらない。

 日本代表は6月にブラジルなど強豪と計4試合を行う。日本サッカー協会では試合前に黙とうを実施し、日本代表はユニホームに喪章をつけてプレーする方向で検討している。

 森保監督は「私も日本代表監督として、オシムさんが残してくれたものをしっかりと受け継ぎ、そして未来へとつなぐことでオシムさんが日本サッカー界にいた証を残し続けたいと思います」と決意を表明。オシムイズムを継承していくことを誓った。

 イビチャ・オシム 1941年5月6日生まれ、ユーゴスラビア(現ボスニア・ヘルツェゴビナ)・サラエボ出身。旧ユーゴスラビア代表として64年東京五輪に出場。同代表監督としては90年W杯で8強入りした。03年市原(現J2千葉)監督に就任し、05年ナビスコ杯優勝。06年W杯ドイツ大会終了後に日本代表監督に就任した。「ライオンに襲われたうさぎが肉離れしますか?」などの「オシム語録」でも注目された。07年11月に脳梗塞で倒れて退任。16年旭日小綬章受章。

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2022年5月3日のニュース