ベルギー1部オーステンデMF坂元達裕　W杯出場へ「自分次第。成長できる時間は十分にある」

坂元達裕

　今年1月にC大阪からベルギー1部オーステンデに期限付き移籍したMF坂元達裕（25）がスポニチ本紙の単独インタビューに応じ、初挑戦中の海外リーグについての思いを語った。昨年5月に日本代表デビュー。海外組のレベルの高さに刺激を受けて移籍を決断したベルギーでは、デビュー戦で1アシストを記録した。W杯アジア最終予選は選外となったが、11月開幕のW杯カタール大会でのメンバー入りを目指し欧州で己を磨き続けている。

――現在の調子は？
　「最初は状態が上がりきらない中で来たので、難しいところもありましたが、今はすごく体の調子は良いです」

　――例年だとキャンプで仕上げる時期に移籍した。
　「めちゃくちゃきつかったです。去年は、後半戦はケガをしながらのプレーが長かった。そこから1回休んで、今は痛みを感じずにプレーできています」

　――ベルギーの印象は？
　「フィジカル、スピードを重視する。僕のチームは3秒以内にゴールに向かうという練習をやっているので、そこは予想以上にJリーグとの違いを感じました」

　――デビュー戦（アントワープ戦）でアシストも記録。
　「結果という部分ではまだ足りない。ただ、左ウィングバックなどいろんなポジションをやらせてもらっている。その中で自分のやりたいことはできている感覚はあるので、そこまで悲観せず、いずれ結果を残せるだろうという気持ちでやれています」

　――チームのスタイルにはすぐに馴染めた？
　「最初は日本と全く違うので戸惑いました。ただ、日本でも移籍経験はあります。そういう変化に合わせて変えていけるタイプなので、上手く対応できると思います」

　――ベルギーでも対戦した元日本代表MF香川真司（33＝シントトロイデン）は憧れの存在。
　「何でもできる選手。僕の身長からしても、小さい頃から香川選手のようなプレースタイルを目指すべきだと思ってやっていた。少しでも近付きたいと思っています」

　――どんな会話をした？
　「“結果を出せば行けるよ！”と言われました。それが代表なのかは、僕には分かりませんけど（苦笑い）。香川さんも代表を目指している。僕も頑張りたいですね」

　――オーステンデという街について。
　「僕は凄く海が好きなんです。オーステンデは海岸がすごく綺麗で、リフレッシュに散歩しています。日本人会もあって、暮らしやすいです」

　――日本人選手との交流は？
　「渡辺剛（コルトレイク）は元から仲が良かったので、休みの日はよくあって遊んだりしてますよ」

　――海外挑戦を決めた理由は？
　「去年代表に参加したとき、海外でやっている選手たちの強度やスピード感は経験したことがなかった。自分がもう一段階成長するためには、そのレベルに挑戦するしかないと感じました。その中でオーステンデから声を掛けてもらった。やっぱりチャレンジするしかないなと思いました」

　――海外志向はいつからあった？
　「それまで代表とかも近くなかったし、海外に行けるビジョンも見えていませんでした。プロになれるかなれないかの状態でやっていた。その中で、代表にやっと選んでもらえるようになって、海外を意識するようになりました」

　――代表で刺激を受けた選手は？＿
　「みんな平均的なプレーの質は高かった。練習に入る前のパス回しとかでもガツガツいっていた。例えば守田（サンタクララ）さんとか、そういうちょっとしたゲームの強度は本当にすごかったですね」

　――将来的には英プレミアリーグやスペイン1部など他リーグも視野に入れている？
　「もちろんそこに行くためにチャレンジしている。ステップアップしたいっていう気持ちは大きいです」

　――W杯への思いは？
　「現状ではまだ枠には入っていないと思います。ただ、これからは自分次第。こういう環境の中で、まだ成長できる時間は十分にあると思っています」

　《複数ポジションこなす》坂元は移籍直後の1月21日に行われたアントワープ戦に先発出場。後半3分にショートコーナーから得意のドリブルでペナルティーエリア内に進入して送ったクロスを味方が流し込んで先制点をアシストした。ここまで9試合に出場し、無得点だが、ドリブルを駆使して決定機を何度も演出。本来のポジションである右ウイングだけではなく左ウイングバックや2トップなどプレーの幅を広げている。

　◆坂元　達裕（さかもと・たつひろ）1996年（平8）10月22日生まれ、東京都東村山市出身の25歳。小学校からサッカーを始め、中学時代はFC東京の下部組織に所属。前橋育英高、東洋大を経て19年にJ2山形でプロスタート。20年にC大阪へ移籍した。日本代表は2試合に出場。好物は妻の作る料理全般。ポジションはMF。1メートル70、65キロ。利き足は左。