×

近大和歌山 優勝候補を“ジャイキリ”撃破 勝因は本気のジャンケン!? シュート差17本でも粘り勝ち

[ 2021年12月30日 05:30 ]

第100回全国高校サッカー選手権第2日・1回戦   近大和歌山1-1流通経大柏 (PK5-4) ( 2021年12月29日    フクアリ )

<流経大柏・近大和歌山>PK戦勝利に歓喜する近大和歌山イレブン (撮影・長久保 豊)
Photo By スポニチ

 痛快なジャイアント・キリングだ。1回戦15試合が行われ、近大和歌山が優勝候補の一角、流通経大柏(千葉)をPK戦の末に破った。県勢では10年度の初芝橋本以来、11大会ぶりの初戦突破を果たした。

 PK戦にもつれ込んだ激闘。6人目のキッカー、DF荒木のシュートが左に突き刺さった瞬間、歓喜の輪が広がった。過去1度の選手権優勝と2度の準優勝を誇る流通経大柏との初戦。近大和歌山は、高校年代最高峰の高円宮杯U―18プレミアリーグEASTに所属するV候補の一角を総力戦の末に破った。

 「きょうは良くできた試合だと思います。ケアするゾーンや局面、クロスへの対応を話して選手が実行してくれた。運もあった」

 藪真啓監督は大金星を挙げた選手をねぎらった。4試合18得点で頂点に立った県大会のスタイルを封印して守備的戦術を採用。シュートは流通経大柏の19本に対し、わずか2本だけだった。先制点を奪われた後も押し込まれ、耐える時間が長く続く。それでも最少失点でしのぐと、後半24分にFW谷口が起死回生の同点弾。試合終盤には何人もの選手が足のけいれんでピッチに倒れながらも、5バック変更でPK戦にまで持ち込んだ。

 大金星の背景には“本気のジャンケン”の効果もあった。高校野球界などで著名なメンタルトレーナー・大嶋啓介氏直伝のメンタルコントロール術で、緊張を緩和して個々の熱量を最大限に引き出すというもの。試合前とハーフタイム、PK戦前にも全員で実施。見事に1本目を止めて流れをつくったGK後迫は「緊張する場面でも1度、声出すことで緊張がほぐれる」と笑みを浮かべたが、どれだけ劣勢でも闘争心を失わずに戦い抜いたことが勝因の一つだった。

 31日に行われる2回戦の相手は優勝候補の一角に上がる静岡学園。だが臆することはない。昨年度、国公立大学の合格者は184人。文武両道の進学校が再びの“ジャイキリ”で、08年度大会以来の16強進出を決めてみせる。

 ▽近大和歌山 1983年(昭58)創立。「人に愛される人、信頼される人、尊敬される人になろう」を校訓とする文武両道の進学校。和歌山と大阪の県境に位置し、大阪から通う生徒も多い。昨年度の国公立大学合格者は184人。サッカー部は83年創部。選手権大会は8度出場し最高成績は16強。インターハイは11度出場。県内ではラグビー部も強く、今冬の花園大会に出場。

続きを表示

この記事のフォト

2021年12月30日のニュース