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久保 倒れ込み号泣…好機演出もメダル逃す「こんな悔しいことはない」

[ 2021年8月7日 05:30 ]

東京五輪第15日 サッカー男子3位決定戦   日本1―3メキシコ ( 2021年8月6日    埼玉 )

<日本・メキシコ>メキシコに敗れ号泣する久保
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 53年ぶりのメダルは遠かった。サッカー男子代表は6日、3位決定戦でメキシコに1―3で完敗した。無得点に終わったMF久保建英(20)は人目をはばからず、号泣した。中2日で続いた6戦目。途中出場のMF三笘薫(24)が1点を返すのが精いっぱいだった。2017年10月の就任から3年10カ月。A代表も率いる森保一監督(52)が、兼任体制のゴールを迎えた。

 久保は試合終了の笛が鳴ると、ピッチにうつぶせに倒れ込む。メキシコ選手と味方が健闘を称え合う中、最後まで立ち上がることはできない。悔しさは涙として止めどなくあふれる。大人びた20歳が、まるで子供のように泣きじゃくった。エースの重圧を背負った挑戦は惜しくも4位で終わりを告げた。

 「終わっちゃったなというのと、メダルを最後に獲って終わろうと言ったのに獲れなかったことのむなしさというか。自分が決めていれば、アシストしていたら、PKを取っていたら。いろんなことを考えました」

 暑さが容赦なく体力を奪う中、中2日という過密日程での連戦。体が思うように動かない。それでも攻撃陣を引っ張った。前半25分、左サイドで2人を引きつけてMF相馬への見事なパス。3分後にはペナルティーエリア外の右で得たFKから、得意の左足で相手ゴールを強襲した。だが、最後までゴールネットを揺らせなかった。ふがいなさが募る。

 「今日ぐらいの相手だったら、3人くらいマークがついていても、剥がしてどフリーの選手にパス出すだったりシュートを決めきるだったり、それくらいじゃないといけない」

 久保には日本をサッカー大国に押し上げると誓った“コルカタの夜”が刻まれている。17年10月17日、U―17W杯インド大会決勝トーナメント1回戦。優勝したイングランドと0―0の死闘を演じ、PK戦の末に散った。久保は何度もゴールに迫ったが、1点が遠かった。チームを勝たせられなかった。体にまとわりつく暑さの中、久保は立ち尽くし、相手の歓喜の様子を見ていた。「この敗戦は一生忘れない」――。

 その夜、悔しさで眠れなかった。同部屋だった当時の主将の福岡慎平(J2京都)との会話は自然と熱を帯びていく。チームのこと、今後のこと、そして、日本サッカー界の未来のことも。気づけば、朝方になっていた。「日本が5年後10年後、サッカー大国になっていてもおかしくない。可能性は十分ある」。久保は、その旗頭になると心に決めた。

 金メダル獲得を掲げた東京五輪は終わった。しかし、挑戦はまだまだ続く。9月から始まる22年W杯カタール大会のアジア最終予選、そして本大会へ。その先に24年パリ五輪でのリベンジもある。

 「今までサッカーだけやってきて、こんな悔しいことはない。自分はここで終わりじゃない。サッカーをやめたいとも思わないし、どんどん努力して、サッカーだけやっていれば神様はチャンスをくれる」。久保の夢は終わっていない。まだ、始まったばかりだ。

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