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クラブ自前の芝職人 J2京都の芝を年間通して安定させるため日夜奮闘

[ 2021年7月21日 05:30 ]

ピッチ外のスペシャリスト~J2京都グラウンドキーパー・児島浩人さん

J2京都のグラウンドキーパー・児島さん(C)KYOTO.P.S.
Photo By 提供写真

 首位を走るJ2京都に、異色のグラウンドキーパーがいる。児島浩人さん(38)。同職はスタジアムや練習場の芝生などを整備管理し、自然環境を相手にするだけに専門知識と繊細な技術が必要。多くのクラブは外部委託しているが、児島さんはチームマネジャーから転身したクラブ自前の芝職人だ。

 08年シーズン。当時はまだ練習場の芝生メンテナンスを毎日行う習慣がなく、グラウンドコンディションも一定していなかった。それを改善すべく、クラブで日々のメンテナンス業務を行う方針となり、05年に加入した児島さんが指名された。門外漢だったが「マネジャーとして造園会社の方との接点もあって“この仕事も面白そう”と思っていた。クラブもそれを分かっていたんでしょうね」。Jビレッジでグラウンドキーパーをやっていた人物をクラブが雇い、その人の下で3年間の勉強。11年シーズン以降は独学でサンガタウン(練習場)の芝生管理をしている。

 日々の主な業務は芝刈り、水やり、肥料やり。練習で芝生がめくれた際には砂を一カ所ずつ撒いて平らにし、芝生が再生しやすいように修繕する。ただ日照具合や風通し、気温湿度…。各地域によって自然環境の違いはあり、育成法も差異が出る。特にサンガタウンは雨が降った後の水はけが悪く、水分が抜けないと土壌に有機物がたまって芝生の育成に影響が出てしまうため、特に水はけには気を使うという。

 天気にも左右されるためにオフの予定も立てづらい。それでも「練習場というのは選手にとって戦場。毎日使う場所だからこそ、安心して練習できるように管理することを心掛けています」と笑顔で汗を流す。

 現在もより最適な育成法を模索しており、気がついたことは“児島ノート”に書き加えて、日々、知識と経験をブラッシュアップ。まずはサンガタウンのピッチを年間通じて安定した状態を保つことが目標だ。

 そして将来的に願うのは本拠地スタジアムピッチの自社管理。「サンガタウンとサンガスタジアムの芝生がより近いピッチコンディションになれば、チームにとっては大きなメリットがある」。そのためにも芝職人は深い探究心を持って、きょうも芝生と向き合っていく。

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