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横浜FC・カズ、J1最年長出場記録更新 54歳12日、被災地とともに走り続ける

[ 2021年3月11日 05:30 ]

明治安田生命J1第3節   横浜FC0ー2浦和 ( 2021年3月10日    埼玉 )

<浦和・横浜FC>後半、浦和・槙野(左から2人目)のボールを追いかける横浜FC・三浦(左)
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 明治安田生命J1は各地で9試合が行われ、横浜FCのFW三浦知良(54)は後半48分から今季初出場し、J1最年長出場記録を54歳12日へ更新した。ドイツ1部リーグ2番目の年長選手で22年6月までの契約延長に合意したEフランクフルトのMF長谷部誠(37)は本紙を通じ、カズに祝福のメッセージを寄せた。また、首位の川崎Fは開幕4連勝、名古屋と鳥栖は3連勝とした。

 これも運命か。11日は震災から10年の節目、「伝説のカズダンス」からも10年がたつ。そしてカズはまたピッチに立った。既に後半48分、試合は劣勢、ボールに触れることもなかった。それでも勝利を渇望し、ボールを追った。54歳12日。自身のJ1最年長出場記録を更新した。

 「3・11」から18日後の復興支援マッチは今も語り継がれる。日本中の期待を背負ったカズが得点し、鎮魂のステップを踏んだ。誰もが希望の光をその背中に重ねた。「被災地の方が喜んでくれて…ゴールにはあんな力があるのかと。皆のためにプレーすることには価値があると体験した」。だからカズは走った。みんなのために。

 当時の、岩手出身の小笠原満男の言葉は今も耳に残る。「カズさん、助けてください」。震災直後はピッチに立つことさえ逡巡(しゅんじゅん)したが、小笠原から聞いたサッカー少年団さえつぶれていくという話に心を痛めた。自分にできることは何か。「価値観が問われていた」とカズ。だから、この日も魂を込めてピッチに立った。

 震災1カ月後、カズは釜石市と大槌町を訪ねた。悲劇的な光景に言葉を失う一方、子供たちの「カズダンスを踊って」の声に救われた。毎年、被災地を訪ねる。10年前、釜石市のサッカー教室で一緒にプレーした中学3年生には現神戸のDF菊池もいた。全てが「今」につながっている。

 プロ36年目。自主トレでは量より質を追求、早朝5キロ走をやめ、サッカーに適した有酸素運動を導入、ピラティスにも着手した。54歳がもがき、競争の末、つかんだ出番だ。カズダンスの再現はお預け、わずか数分の出場。それでも不屈の魂は10年を経た被災地にも届いていたはずだ。

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