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高校時代に福島で震災経験…福岡FW山岸祐也の変わらぬ思い「今、自分にできることを」

[ 2021年3月11日 18:30 ]

オンライン会見に出席した山岸祐也
Photo By スポニチ

 サッカーJ1福岡のFW山岸祐也(27)が11日、練習後のオンライン取材に出席し、東日本大震災から10年の心境を話した。

 山岸は震災発生当時、福島・尚志高のサッカー部に所属。練習でグラウンドに出る前、靴紐を結んでいた時に大きな揺れに襲われた。

 地震直後は学校の生徒もグラウンドに避難。「晴れていたんですけど、急に雲行きが怪しくなって暗くなって吹雪が吹き始めた」。携帯もつながらず「親御さんたちとも連絡取れなくて泣いてる生徒もいた」。パニック状態の中、寒がる生徒たちにサッカー部のベンチコートを配ったという。

 寮に戻ると部屋はぐちゃぐちゃ。次々と来る余震の恐怖に耐えながら、数日間は食料もなくポテトチップスなどでしのいだという。

 「このままサッカーができなくなるんじゃないか。サッカーをやってる場合じゃないんじゃないか」。練習もできない惨状の中で不安な思いが交錯する中、監督に言われた「この状況で自分たちができるのはサッカーでみんなを元気付けたり勇気付けることだ」という言葉を胸に刻んだ。その年の90回選手権でベスト4入り。山岸は中心選手として5点を取る活躍をみせた。勝ち上がるたびに学校には「感動した」「パワーをもらった」などと激励や感謝の電話やFAXが殺到した。「その1年間は人生の中でもすごい貴重な1年だったし、一生心に残るような1年になりました」。

 震災を経験したからこそ「自分たちはそういうところで元気付けられると思っている」と確信。山岸自身も今季、チームの昇格と共に初のJ1に挑戦中だ。

 「あのときベスト4にいった山岸がプロでこれだけ頑張ってるんだなって、1人でも2人でもポジティブな気持ち、もっと頑張ろうという気持ちになってくれたらうれしい」。

 何年たっても「今自分にできることを小さいことだろうとやっていきたい」、その思いは変わらない。

 ○…現在、公式戦4戦を終え、チームは未勝利。昨季昇格の原動力となった堅守で複数失点が続いており、山岸は「失点が増えれば増えるほど勝つことは難しくなってしまう。去年は失点がすごく少なくて勝っていたのは事実」と反省を口にした。J2ではノーマークだったエリアから正確なクロス、シュートが飛び出すJ1のレベルを体感。「選手間で言い合っているのはプレッシャーをかけるときの距離。あと半歩、一歩寄せられるようにならないと」と課題を口にした。

 攻撃面では1ゴールをあげJ1初得点も記録。「今年はVARがあるので、ハンド、PKを取られたみたいにシュートを打ったら何かが起こる可能性がある。相手の怖いところにもっと入っていかないと」。勝敗の鍵を握りそうなゴールへの積極性を高め、得点を狙っていくことを誓った。 

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2021年3月11日のニュース