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ジャッジを止めるな!J審判員・佐藤隆治氏、映像“裁く”オンライン勉強会で試合勘キープ

[ 2020年6月7日 05:30 ]

オンラインで話をする佐藤審判員
Photo By スポニチ

 6月27日のJ2再開、J3開幕を前に、審判員の調整もピッチが上がってきた。新型コロナウイルスの感染拡大で活動が中止となっていたが、審判員はオンライン勉強会などで審判技術が落ちないようにしている。国際大会の経験も豊富な佐藤隆治審判員(43)はほぼ毎日、試合映像を見ながら仲間と議論して感覚を維持。準備は万全だ。

 シーズンが中断したことで厳しい状況に置かれているのは審判員も同じ。コンディションの維持や試合勘の調整のため、工夫をこらす日々だ。日本協会審判委員会が取り入れたのはオンライン勉強会。週に1、2度、試合映像を使いながら議論している。国際審判員の佐藤審判員は、さらにアジア連盟の勉強会にも出席。ほかに仲間数人でのものを加えるとほぼ毎日、勉強会に参加している。

 審判員同士で映像を見て「これはPK」「いや違う」「これはレッドカード」「いや、イエロー」と、意見を出し合う。「こう動いた方が良かった」「選手とこうコミュニケーションを取った方がいいのでは」と指摘されることもある。「ピッチ上の感覚とは違うが、少しでも近いものを」と、佐藤審判員は試合をしているつもりで取り組んだ。

 例年なら試合の合間に研修会が行われる。時間の制約もあり、「正しいか間違っているか?」と端的に答えを求められるが、今は映像を見ながら時間をかけてさまざまな角度からレフェリングを見直すことに重点を置ける。「普段はできないこと。今やっていることがあとでプラスになるように、やれることは全部やろうと思っている」と、積極的に時間を使っている。

 通常、プロの審判は毎日時間を決めて体を動かしている。週半ばには心拍数を上げるインターバルトレーニングやショートダッシュを入れて持久力を高める。メニューは人によって違うが、1年間同じで、審判委員会のフィジカルインストラクターのアドバイスを受けながら行う。佐藤審判員は筋肉の質を高めるために、関節の可動域を広げる初動負荷トレーニングを取り入れている。

 中断前とほぼ同じトレーニングの質と量をこなしているが「試合での消耗度は選手も審判も同じ。それに試合の動きとトレーニングの動きや質は違う。例えば瞬間的な動きや予測と違ったときに無理に体を動かすなど。試合とトレーニングの疲労度も違う」という。
 再開後は過密日程が待ち受けている。

 「再開は高温多湿の時季で、試合は中2日、中3日で年末まで続く可能性がある。今まで経験したことがないタイトな日程になるので、シーズンの最後までやりきることを考えながらやっていかないといけない」。再開したらそれで終わりではなく、今季を無事に終わらせることが重要なのだ。

 「いろいろやってもそれをピッチ上で表現できないと意味がない。この数カ月を無駄にしたくない」と佐藤審判員は話す。中断期間に厳しく自分を律した成果は間もなく披露される。

 ◆佐藤 隆治(さとう・りゅうじ)1977年(昭52)4月16日生まれ、名古屋市出身の43歳。一宮高時代はFW、筑波大ではサイドバック。卒業後は愛知県で教員になり、同時に審判員に。3年で退職し、プロ審判員を目指す。09年2月にPR(プロフェッショナルレフェリー)に。19年アジア杯など国際経験も豊富。

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