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ハリルJ2016年を総括 ザック時代より弱い…最大の弱点はSBの人材不足

[ 2016年11月16日 08:10 ]

W杯アジア最終予選B組 ( 2016年11月15日    埼玉 )

<日本・サウジアラビア>前半、競り合う酒井宏

 日本代表は15日のサウジアラビア戦に勝利を収めたものの終了間際の1失点が響いて得失点差でB組首位を逃した。これにより、2位で最終予選を折り返すことになったが、ハリルジャパンの16年をサッカー担当キャップの木本新也記者が総括した。

 アジア最終予選で折り返しの5試合を終え、3勝1分け1敗の勝ち点10。W杯出場圏の2位に浮上して最低限の結果を残したが、個人的には今の日本代表は14年W杯ブラジル大会で1次リーグ敗退したザッケローニ時代よりも弱いと見ている。サウジアラビア戦で先発した大迫、清武、久保に加え、浅野、小林祐ら前線に新たなタレントが出始めたのは好材料だが、問題は最終ライン。チーム低迷の最大の要因は両サイドバックだと思う。

 サイドバックで主力を張る酒井宏、酒井高は、ケガで長期離脱中の内田、度重なるアクシデントで今最終予選1試合しか出場していない長友に比べてクオリティーが落ちる。ボール保持率が下がり遅攻が激減したのは、縦に速いサッカーを志向するハリルホジッチ監督の指示だけではなく、両サイドで起点をつくれなくなっているからだ。

 最終ラインでボールが落ち着かないから、足元でボールを受けた時に持ち味を発揮する本田、香川も生きない。ハリルホジッチ監督はひとまず解任危機を脱したが、内田の復帰と長友の完全復調か、2人に代わる新戦力の台頭がなければ来年も厳しい戦いが続くことは想像に難くない。サイドバックの人材不足は日本協会、Jリーグを含め、スペシャリストの育成システムを確立できていない日本サッカー界全体の責任といえる。

 両サイドバックに並ぶ課題が試合運びのまずさだ。サウジアラビア戦は結果的に2点差勝利ならB組首位に浮上できていたが、終盤に失点して結果は薄氷の勝利。1点差に迫られた後はチームは明らかに動揺してバタついた。象徴的だったのが後半ロスタイムに右サイドで得た直接FKのシーン。本田がCKフラッグ方向に走りだした岡崎を目掛けてパスを出してサイドで時間を稼ごうとしたが、オフサイドと判定されて、あっさりと敵にボールを渡した。経験豊富なはずの本田と岡崎によるありえないミス。最終予選5失点中4失点がセットプレー絡みというのもいただけない。細部の詰めを徹底していかなければ、来年9月まで続くシビアな戦いで勝ち点を落とす可能性もある。

 クビが懸かった大一番でハリルホジッチ監督がドラスティックな采配で若返りを図ったことは評価できる。若手を積極起用して前線から激しくボールを奪いにいくサッカーが理想のスタイル。アルジェリア代表監督時代にはMFゲディウラ、MFカディールら経験ある主力をメンバーから外して14年W杯ブラジル大会で16強に進出した実績もある。15年6月16日のW杯アジア2次予選初戦シンガポール戦で引き分けたことで腰が引け、以降、リスク回避の采配を余儀なくされてきたが、土壇場でベテランを先発から外し、1年5カ月前の呪縛からようやく解放されたといえる。(サッカー担当キャップ)

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2016年11月16日のニュース