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澤、引退に実感わかず「来年も走っている気が…」史上最多2万人見守った

[ 2015年12月27日 16:39 ]

<新潟・INAC神戸>チームメイトの祝福を受け笑顔を見せる澤
Photo By スポニチ

第37回皇后杯全日本女子サッカー選手権大会決勝 INAC神戸1―0新潟

(12月27日 等々力)
 現役ラストマッチで優勝を決める決勝ゴール。それでもレジェンド澤穂希(37)の目に涙はなかった。

 0―0で迎えた後半33分、川澄の右コーナーキックを頭でとらえ、ゴール右隅に叩きこんだ決勝弾の直後も、2年ぶり5度目の優勝が決まった瞬間も笑顔。そして、試合後の場内インタビューも澤らしい穏やかな表情でまずは「本当に皆さんの力で何とか勝てて本当に良かったです」と周囲に感謝すると、チームメートの手で4度宙に舞った胴上げの瞬間を「素直にうれしかったです」と笑顔で振り返った。

 まさに、澤の、澤による、澤のための皇后杯だった。残り3戦の時点で現役引退を発表。チームメートは澤のフィナーレを優勝で飾るべく、今まで以上に一丸となった。「川澄選手のボールが良かったので、あとは当てるだけでした。きょうは得点を狙っていたので、決めれて最後を終われる形で良かったと思います」と決勝ゴールについて謙虚に語った澤は、「最後、澤さんに優勝をということで、皆が力を合わせて練習からやってくれたので、たくさんの方々に助けられました」と感謝の言葉を重ねた。

 女子だけでなく、男子も含めた日本サッカー界のレジェンドの最終幕に、会場となった等々力陸上競技場には、皇后杯史上最多となる2万人以上の観客が詰めかけた。「本当にたくさんの応援してくれる方々が来てくださって、最後いい形で得点もできたので、きょうは寒い中、会場に足を運んでくださった皆さん、きょうは本当にありがとうございます」。観客にもそう感謝の言葉を送った澤は、「まだ来年もグラウンドを走っている気がします」と引退にまだ実感がわかない様子だ。

 それでも、日本女子サッカーにまだ光が当たらず、「なでしこジャパン」の愛称がつく以前からチームをけん引し、6度のワールドカップ(W杯)と4度の五輪に出場した澤は最後にこう言葉を残す。「私はきょうで引退しますが、これからも日本女子サッカーが輝かしい場所であるように、一人でも多くの方々に引き続き応援してほしいなと思います。今後とも女子サッカーをよろしくお願いいたします」。表彰式では、主将の大野に促されて2人で皇后杯を高々と掲げ、再び最高の笑顔を見せた。

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