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テーピング普及のきっかけ、心は優しく…クラマー氏という人

[ 2015年9月19日 08:00 ]

07年、J2の始球式でボールを蹴るクラマー氏
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デットマール・クラマー氏 死去

 クラマー氏はサッカーの技術だけでなく、指導法やスポーツ医学など多くのことを伝えた。60年の特別コーチ就任直後から東京五輪まで、通訳も兼ねたコーチとして、身近で接した岡野俊一郎元日本協会会長(現日本協会顧問)は、論理的な指導の例として、テーピングを挙げた。

 今ではケガの予防として足首にテーピングをして練習する選手は多い。当時は日本にテーピング用のテープさえなく、一般の指導者からは「ケガが怖くてサッカーができるか」と批判されたという。「そうじゃない。戦力が低下しないようにするためだ」と必要性を説明し、他競技にも広まった。

 18歳の時に日本代表の欧州遠征で、選手として初めて指導されて影響を受け、その後ユース日本代表監督や鳥栖の監督などを務めた松本育夫氏は指導法の確かさを挙げた。クラマー氏は「サッカーがうまくなるためには、心構えも大切」と練習時に服装などをチェック。「指導者が疲れた顔をしていたら、疲れている選手は何も受け入れない」と指導者の振る舞いにも注文を付けた。

 指導者のあるべき姿としては「やってみせられる」「正しい理論で選手を導ける」「24時間、サッカーに対する情熱があること」と教えられたという。松本氏は「サッカーの原点を身につけさせてくれた。練習には厳しく、心は優しく」と感謝した。

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