×

俊輔デビュー戦いきなりFK!イエロー!

[ 2009年8月31日 06:00 ]

<ビルバオ・エスパニョール>ドリブル突破を図る中村俊輔

 俊輔が夢の舞台に立った。エスパニョールに移籍した日本代表MF中村俊輔(31)は30日、チーム開幕戦となったアウェーでのビルバオ戦に右MFで先発出場し、念願のスペインリーグデビューを果たした。フル出場した中村はFKでゴールを狙い、スルーパスでチャンスを演出する場面もあったが、持ち味を発揮しきれず、チームも0―1で敗戦。ほろ苦いデビュー戦となった。中村は31日から日本代表オランダ遠征に参加する。

 待ちこがれたスペインリーグのデビュー戦。中村は昨季まで在籍したセルティック、日本代表で慣れ親しんだ右MFで試合開始の笛を聞いた。前半2分、チャンスはいきなり巡ってきた。ゴール正面20メートル付近に詰めると、浮き球がこぼれてきた。ファーストタッチで左足を振り抜いたが、ミートしきれずゴールマウスはとらえられなかった。
 12分には中央右寄り21メートルのFKから直接ゴールを狙ったが、右上に外れた。「ボールが新しいから蹴った感触が違う」。移籍後初のセットプレーはイメージ通りのキックにはならなかった。
 スペイン国内の注目もエスパニョールの背番号7に集まった。試合当日付の全国紙アスは、注目選手としてビルバオのスペイン代表の新鋭、FWジョレンテと並べて中村を紹介。エルムンドデポルティーボ紙も「7番のサムライ」「日本のキャノン砲」の見出しで中村の特集を組んだ。
 横浜時代からスペイン語を勉強するなど、スペインリーグはあこがれ続けていた舞台だ。デビューを前にチームメートともピッチ内外で積極的にコミュニケーションを図った。昨季悩まされた右足付け根痛もほぼ完治。8日にハルケ主将が急死したことで練習が1週間取りやめになるアクシデントもあったが、悲しみすらも乗り越えてきた。「体もだいぶ切れてきた」と万全の状態でこの日を迎えた。
 だが、アウェーでの戦いは劣勢を強いられた。ビルバオに押され気味とあって、なかなかボールが回ってこない。後半8分、右サイドのFKはGKにキャッチされた。10分にはMFムニアインに左ひじを当て、初警告も受けた。そして、33分にロングフィードから先制点を奪われた。
 セルティックでの活躍で欧州でも確固たる地位を築いたが、実は10年W杯南アフリカ大会に向け、さらなる向上の必要性を感じていた。「まだまだゴール前での怖さ、ゴール前への突進力が足りない」。古巣の横浜からオファーを受けながら最終的にスペインを新天地に選んだのも、06年ドイツ大会での失意を払しょくし、南アフリカで輝くためだった。これまでも幾多の困難を乗り越え自らの成長につなげてきた。本領を発揮できなかった“ホロ苦デビュー”から、巻き返しを図る。

続きを表示

2009年8月31日のニュース