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“史上最強”フィギュア男子 初メダルに挑む

[ 2010年2月16日 18:18 ]

 フィギュアスケート男子は16日(日本時間17日)のショートプログラム(SP)で始まり、日本の3選手が登場する。

 アルベールビル五輪銀メダルの伊藤みどりさん(40)やトリノ五輪金メダルの荒川静香さん(28)ら女子の活躍に比べ、影の薄かった男子。だが今回は「史上最強の布陣」といわれ、米国と並ぶ最多の3人で男子初のメダルを狙う。躍進の背景には、選手を取り巻く環境の充実がある。
 世界に通用する表現力の高橋大輔選手(23)、ジャンプに安定感がある織田信成選手(22)、父子2代の五輪出場でスケート技術が武器の小塚崇彦選手(20)。それぞれ持ち味が違う3人は、いずれも世界ジュニア選手権の覇者だ。
 シニア転向後も高橋選手は2007年世界選手権(東京)で銀メダル、織田、小塚の両選手はグランプリ・ファイナル2位の実績がある。
 1976年インスブルック五輪代表で、翌77年世界選手権で日本男子初の銅メダルを獲得した佐野稔さん(54)は、実力をつけた背景の一つに練習環境の充実を挙げる。
 06年7月、高橋、織田両選手が所属する関西大に国内大学初の大規模な通年型リンクが完成。07年5月、小塚選手が通う中京大にフィギュア専用リンクがオープンした。
 民間リンクでは、一般客の間を縫うように滑らざるをえず、貸し切りは早朝や深夜に限られる。良い練習環境を求め不慣れな海外生活を余儀なくされることも多かった。
 トップ選手が優先的に使える大学のリンクができたことで、国内での調整が可能に。「僕らの時代には全く存在しない練習環境が整った」と佐野さんは話す。
 経済環境も好転した。高橋選手は07年から日本オリンピック委員会のシンボルアスリートになり、多額の協力金を得る。小塚選手も大学に通う傍ら、トヨタ自動車の社員として安定した報酬を受け取っている。
 「プロとアマの垣根が低くなり、生活基盤が保証されている」と佐野さん。恵まれた環境で育った3人が、フィギュア男子の歴史を塗り替えることができるか。(共同)

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2010年2月16日のニュース