中内田師 馬を学んだ英国で恩返しの勝利を

[ 2022年6月17日 05:05 ]

グレナディアガーズ
Photo By 提供写真

 【競馬人生劇場・平松さとし】英国ニューマーケットで中内田充正調教師と久しぶりに軽く食事をした。

 現地時間18日、英国アスコット競馬場で行われるプラチナジュビリーS(G1)に同師が管理するグレナディアガーズ(牡4歳)が出走するのだ。

 14、15日と自ら同馬にまたがると「状態は良さそう」と笑みを見せて語った。

 今では立派なG1トレーナーとなり、海の向こうへ馬を送り込むようになった中内田調教師。しかし、私が最初に会った時は弱冠20歳になるかならないかという青年。それは今から20年以上前のフランスでの話で、当時の彼は英国の大学で馬学について学ぶ学生だった。

 そして、次に彼と再会したのは米国だった。シカゴやロサンゼルスでも会ったが、この時の彼は伯楽R・フランケル調教師の下で、乗り手として働いていた。ケンタッキーダービー(G1)で1番人気2着後、ベルモントS(G1)を勝つエンパイアメーカーを任されるなど、今思えば、後のG1トレーナーの片りんは見せていた。

 「フランケル調教師の管理馬は7割が重賞に出走するような馬でした。エンパイアメーカーもそうですが、そういった優秀な馬の背中を知ることができたのは、大きな財産となり、後の自分のホースマン人生に大きな影響を与えてくれました」

 そんな経験を糧に調教師となると、3頭のG1馬を育てた。そして、そのうちの一頭であるグレナディアガーズと共に海を越えた。

 挑戦するプラチナジュビリーSは自身初経験となる直線の1200メートル戦。しかも59.5キロの重量を背負う。さらに米国やオーストラリアの快速馬もそろい、かなり厳しい競馬になりそうだ。中内田師は言う。

 「シャフリヤールのプリンスオブウェールズS(4着)にも臨場させてもらいましたが、海外遠征なので楽な競馬にならないのは百も承知しています」

 それでも「馬についての基礎を学んだ英国」で勝つことは、彼にとって最高の恩返しの形だろう。18日、日本時間深夜だが、ぜひ、注目していただきたい。(フリーライター)

続きを表示

2022年6月17日のニュース