【ダービー】シャフリヤール狙い撃ちV 皐月賞飛ばして照準 藤原英師2勝目「全てがうまくいった」

[ 2021年5月31日 05:30 ]

福永騎乗のシャフリヤール(右奥)は横山武騎乗のエフフォーリア(左)をハナ差で差し日本ダービーを制す(撮影・西川祐介)
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 2年ぶりに観客が戻った競馬の祭典「第88回ダービー」は、ペルシャ語で「偉大な王」と名付けられた4番人気シャフリヤールが制した。管理する藤原英昭師(55)は10年エイシンフラッシュ以来2度目のダービーV。福永祐一とのコンビでは10度目の挑戦でクラシック初制覇となった。皐月賞をパスして綿密な戦略で勝ち取った栄冠。歓喜の一方で、わずかな差で敗れた2着エフフォーリアの鞍上・横山武を気遣った。

 2度目のダービー制覇。藤原英師は、してやったりの表情で愛馬シャフリヤールを迎え、殊勲の福永のヘルメットをよくやったとばかりポンポンと叩き、抱き合って喜びを分かち合った。

 「直線はエフフォーリアが凄い脚で抜け出したので駄目かと思ったが、最後にグイッと伸びた。全てがうまくいった。相手は強いが条件さえ整えばやれると思っていた」

 シャフリヤールは毎日杯を驚異のレコードで制したが、皐月賞を自重。「450キロ前後しかない馬。オーナーとも相談し成長を促してダービー一本に絞った。体重は増えていなかった(4キロ減)が、筋肉の張りやメンタル面は著しく良くなった」。潔い決断と計算通りの仕上げ、そして愛馬への絶大な信頼が見事にレースレコードVに結びついた。

 好騎乗の鞍上には親分肌らしい賛辞を贈った。「あいつ(福永)には貸しがたくさんある。いつか借りを返せよと、ずっと言ってきたが、それがダービーで最高にうれしい」。福永がワグネリアンで悲願の初Vを飾った18年。エポカドーロで2冠を狙った藤原英師は、半馬身差の2着に涙をのんだ。「(エポカドーロ騎乗の)戸崎君は完璧に乗ったが、あいつにやられた。それ以来、福永を倒したいと思ってきたが、今日はチームで勝てた。こういう巡り合わせも競馬のドラマ」。福永も「藤原厩舎とは強い信頼関係で結ばれている。デビューから一緒に育ててきた馬で、ダービーを勝てたのは良かった」と喜んだ。

 歓喜の一方で、師は2着に敗れた横山武に言及した。「彼は本当に悔しいと思う。今晩は眠れないだろう」。わずか10センチの差でダービージョッキーの称号を逃した若武者を気遣った上で続けた。「負けたのがシャフリヤールで、福永で、藤原厩舎だったという事実が、生涯ずっと記憶に残ると思う。彼は将来の競馬界を背負ってトップに立つ男。そんな男にそういう記憶を刻めたのは、いろんな意味で価値があると思う」。この悔しさをバネに、より精進して競馬の道を極めてほしい。独特のエールに愛情と願いが込められた。

 シャフリヤールは今後、秋に向けて充電の予定。師は「ダービー馬として息の長い、ファンに愛される、恥ずかしくない馬に育てていきたい」と誓った。これが勝負、これがダービー。2度目の美酒を味わい、後進の大きな目標となった藤原英師もまた、ひたすら競馬道を邁進(まいしん)する。

 ◆シャフリヤール 父ディープインパクト 母ドバイマジェスティ(母の父エッセンスオブドバイ) 18年4月13日生まれ 牡3歳 栗東・藤原英厩舎所属 馬主・サンデーレーシング 生産者・北海道安平町のノーザンファーム 戦績4戦3勝(重賞2勝目) 総獲得賞金2億8208万5000円。馬名の由来はペルシャ語で「偉大な王」。千夜一夜物語でシェヘラザードの話を聞く王の名でもある。

【アラカルト】
 ☆騎手&調教師 福永は天皇賞・春(ワールドプレミア)以来のJRA・G1Vで今年2勝目。通算30勝目。JRA重賞は通算152勝目。藤原英師は19年高松宮記念(ミスターメロディ)以来のJRA・G1Vで通算11勝目。JRA重賞は毎日杯(シャフリヤール)以来のVで今年3勝目。通算59勝目。

 ☆SS超え ディープインパクト産駒は18年からワグネリアン→ロジャーバローズ→コントレイルに続き4年連続Vで通算7勝目。同一種牡馬のダービー4連覇は史上初。通算7勝はトウルヌソル、サンデーサイレンスを抜いて史上最多勝利。JRA・G1Vは通算64勝目。JRA重賞は262勝目。

 ☆レースレコード 勝ちタイム2分22秒5は一昨年Vのロジャーバローズ(2分22秒6)を0秒1更新するレースレコード。

 ☆着差 鼻差決着は16年(1着マカヒキ、2着サトノダイヤモンド)以来で通算10回目。

 ☆キャリア デビュー4走目Vは46年以降で、96年フサイチコンコルド(3走目)に次ぐ2位の記録。

 ☆ローテ シャフリヤールは毎日杯1着から連勝。毎日杯優勝馬の勝利は13年キズナ以来4頭目。直行でのVは史上初。前走から中63日での勝利。間隔の長さは84年以降、96年フサイチコンコンコルドの中84日に次ぐ2位の記録。

 ☆10番枠 12年ディープブリランテ以来、通算9頭目V。馬番別勝利数で最多記録となった。

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2021年5月31日のニュース