AJC杯連覇「ブーちゃん」から学んだ青木師の経験

[ 2021年1月22日 05:30 ]

 【競馬人生劇場・平松さとし】美浦で開業6年目となる青木孝文調教師。1981年生まれで現在39歳の彼がトレセンでのキャリアをスタートしたのは2004年。翌05年4月に伊藤正徳厩舎で調教厩務員になると、最初に担当したカナエカイウンがいきなり障害の未勝利戦を優勝。その約1カ月後、今度は重賞制覇を目指し、同馬と共に京都競馬場へ向かった。

 「行きの馬運車の中ではずっとウキウキした気持ちでいました」

 当時を述懐する青木調教師はそう語る。しかし、彼は1人、新幹線で帰ることになる。

 「障害があと2つというところで落馬してしまいました」

 カナエカイウンは予後不良となってしまったのだ。

 「本当に可愛い馬だったので帰りの新幹線では涙が止まりませんでした」

 不運は連鎖した。カナエカイウンの代わりに入厩した馬はレース当日に歩様が乱れてしまった。

 「出走を取り消して、結局一度も競馬に使うことなく放牧されました」

 代打の代打で入ってきた馬には「今度は長い付き合いができますように…」と声をかけた。この馬は初勝利を挙げるのに3戦、2勝目はさらに9戦を要したが、結果的には2歳のデビューから10歳で引退するまで9年間、54戦の付き合いとなった。その間、G2を3勝し、香港にも遠征。クイーンエリザベス2世カップ(G1)では4着に善戦。

 ネヴァブションだった。

 「使うたびに体が減ったり、気分屋の難しい面があったりと、苦労しました。でも私自身が未熟だったせいなのは分かっていたので、諦めずに自分なりに一生懸命やりました」

 結果、6、7歳時に連覇したのがAJC杯(G2)だった。ネヴァブションを、愛情を込めて「ブーちゃん」と呼ぶ青木調教師は言う。

 「調教師となった現在もブーちゃんから教わった経験はいろいろな形で生きています」

 今週末、AJC杯が行われる。果たして今年はどんなドラマが待っているだろう? (フリーライター)

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