【日本ダービー】ニッポン放送・清水アナ 歓声のない競馬場でも「いつも以上」の実況を

[ 2020年5月31日 05:30 ]

静かに、熱く――76年ぶり無観客ダービー(7)

東京競馬場からダービーの熱狂を伝える清水久嗣アナ(撮影・西川祐介)
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 無観客でも競馬が開催される以上、競馬場で働く人々がいる。ニッポン放送で競馬実況を務める清水久嗣アナウンサー(39)もその一人。例年とは違う雰囲気の中での仕事。無観客ダービーへの思いを聞いた。

 目の前のことをラジオの向こう側のファンへ分かりやすく、熱く伝える実況アナウンサー。観客がいる通常時のレースと無観客競馬の違いを痛感する一人だ。

 歓声も熱気もない競馬場。「寂しいし、むなしいですね。実況はリズムがあって、お客さんの歓声もそのリズムの一つです。なので無観客での実況は難しさもあります」。歓声が実況に生きることもある。レース中は双眼鏡片手に実況をする。視界以外で落馬などがあれば、場内のどよめきで異変に気付き、対応できる。「お客さんに助けられていることもありますね」

 野球などの実況も行うベテランアナウンサー。中学生の頃から20年以上の競馬ファンで、好きが高じて競馬の実況をするようになり既に10年以上。ダービー実況は今回が11回目となる。思い出のダービーはディープブリランテが優勝した12年だ。「ダービー週にトレセンで取材して、たまたま岩田騎手からブリランテへの思いやダービーへの思いを聞いていました。優勝後に岩田騎手が涙を流されて…。実況中は集中しているので私情は頭にありませんが、ダービー実況後に私も思わず泣いてしまいました」と懐かしむ。

 ひときわ歓声が大きいダービーと有馬記念、ジャパンCは独特の雰囲気があるという。「ファンファーレや、4コーナーで上がる大歓声に負けないように強い声を出す。それが、実況の迫力にもつながります」。大観衆がいてこそのレース。年に1度の祭典が、静かな雰囲気の中で行われることには寂しさを感じる。

 スタート前の歓声もなく、馬の蹄音だけが響き、ゴール後の余韻もない。それでも、無観客でもいつも通りに務めるのがプロ。「無観客でも日程通りにダービーが行われ、それを伝えられるだけでもうれしい。寂しいダービーも今回限りと信じて、馬の動きを丁寧に見て、俯瞰(ふかん)で見ながら、集中して、自分にいつも以上にムチを打って実況をしたいですね」とほほ笑む。無観客でもレースを正確に、感動を熱く、聴き手に届ける。 

 ◆清水 久嗣(しみず・ひさし)1980年(昭55)8月30日生まれ、千葉県出身の39歳。野球中継や、eスポーツなどの実況も行っている。ニッポン放送の「日曜競馬ニッポン」で司会、実況を務める。ダービー初実況はエイシンフラッシュが優勝した10年。

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